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49.美女にご紹介いただきましたが

二人のやりとりを見守っていたバドーさんは、レイの謝罪を目礼で受け入れ、


「いえ、レイモンド様。では、美咲様には若草の間を使っていただくということでよろしいでしょうか」


と、また「若草の間」を推してきた。

けれどレイが応えるよりはやく、隣の美女がその案を却下する。


「あ。ごめん、バドー。さっきフィー様からお預かりしている研究資料を若草の間に放り込んじゃったわ」


「さようでございますか」


「他にも仕事の資料持ち込んでいるし、左棟の客室は空けておいてくれる?重要な書類もいっぱいあるから、部外者に近づいてほしくないの」


「ダイアモンド。美咲は俺の客人だ。失礼なもの言いはやめてくれ」


美女が私を見ながらツンとして言うと、レイは聞き捨てならないと割って入った。

すると美女はちらりとレイを上目づかいで睨んで言う。


「ばーか。庇うくらいなら、先に紹介しなさいよね」


「あ」


「いくら久しぶりの再会でもさ、お客様を紹介もせずに、私と話しこんじゃダメでしょ。そんなんじゃ、その子はお客様扱いされない。あんたが連れてきた使用人も同然でしょ」


「…っ!すまない、美咲!」


「え、っと。はぁ……」


ぽーっと二人の話を聞いていたら、とつぜんこちらに話を振られて、ぼけぼけの返事を返してしまう。

完璧放置だったからね。

疲れているし、ぼーっとしちゃうのは許してほしい。


「私のことならお気になさらないでください。ですが……。こちらのお屋敷にお世話になる身です。ご紹介いただけると嬉しいですわ」


まぁレイとの会話を聞いていたら、彼女の正体は想像つくけどね。

なにより、彼女の外見が、彼女が誰なのかをさし示しているし。

でもこれから御厄介になる身としては、ちゃんとご挨拶したいので、紹介いてほしい。


「もちろんだ。美咲、こちらは俺の双子の姉で、ダイアモンド・ブロッケンシュタイン。普段は王都で働いているんだ。ダイアモンド。彼女は伊坂美咲。わけあって、しばらくこの家に滞在してもらう」


「はじめまして、ダイアモンド様。伊坂美咲と申します。申し訳ございませんが、しばらくお世話になります」


はい。美女の正体は、レイの双子のお姉さまでした!

びっくりなんてしませんよー。

だってこの二人、男女の違いはあるものの、銀色の髪といい、人形のように整った顔といい、儚げでいながら迫力のある雰囲気といい、そっくりなんですもん。

読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマも評価も嬉しいです。


今日もぎりぎりですが、間に合ってよかったです。

1日1話、ちょっときつい時もありますが、続けたいです。

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