34.街の中に入りましたが
「わぁ…っ」
門をくぐり、街を見た私は感嘆の声をあげた。
外から門の長さを見ていても、この街が大きな街だということは気づいていたけど、壁の中の建物がこんなに立派なんて思ってなかった。
しかもなんていうかこの街、かわいいの!
建物は、見上げるほど高い。
ぱっと見は5階建てくらいに見えるそびえたつような建物がぎっしりと建っていた。
その壁が真っ白い大理石みたいな石でできていて、屋根のあたりはキャラメル色の瓦が敷き詰められている。
窓には格子が入っているんだけど、そのラインは優美な曲線を描いている。
壁のところどころにはチョコレート色やピンク、淡い緑色の石もアクセントのように入っていて、なんだかかわいいのだ。
初めて見る街は、異世界でもわくわくしちゃう。
この建物はちょっとフィレンツェに似ているかな。
だけどどこかドイツっぽい雰囲気もあるんだよなー、どこの辺がそんな印象にしているんだろ。
なんて考えながら、未知の街のあちこちをチェック。
完全におのぼりさん状態の私を、レイがほほえましげに見ているけど、異世界からはるばるきたおのぼりさんなんだし、ちょっとくらい興奮してても許されるよね。
レイに連れられるままに歩いていくと、街のあちこちに見慣れたものがあるのに気づいた。
この世界、街灯がある……!
道の随所に黒いポールが立っていて、その先端にはバスケットボールくらいのサイズの白い球体がついている。
その球体が白々と光り、暗くなってきた街を照らしている。
街灯の高さは一律ではなく、私の腰のあたりの長さのものもあれば、見上げるくらい高いものもある。
その統一感のなさが街をより幻想的に、かわいく見せているんだと思う…!
この世界にも、電気ってあるの!?
「レイ!ねぇ、あれっ」
「ん?街灯か?」
「そうそう!あれってどうやって光っているんですか?やっぱり電気なんですか!?電気あるんですか!?」
勢いごんで問えば、レイはきょとんと首を傾げた。
「電気?いや、それは知らないなー。街灯が光ってるのは、光るように魔力設定してあるだけだぜ?」
「……そこでも、魔力なんだ」
そうかー。
魔獣がいるんだしね。
魔力がどうって話になっても、ぜんぜん不思議じゃないよね。
ははははははは…。
あー乾いた笑いがこみあげるわ。
この世界、思っていた以上に私の常識とは違うみたい。
まぁ人間がちゃんと生命活動できる世界だったことに感謝すべきかなぁ。
これが恐竜が闊歩する世界だったり、サルの惑星みたいだったりしたら、私の絶望はこんなもんじゃなかっただろうし。
運がいい!はず。
「魔力ってすごいんですね」
一喜一憂した私を心配そうに見ているレイに、笑ってみる。
若干ひきつったのは仕様です。
読んでいただき、ありがとうございます。
ブクマも嬉しいです。
街の様子を考えていたら、今日中に更新できないところでした。
一日一話更新続けたいので、間に合って嬉しいです。
そんな街の様子ですが、理詰めでいったん考えたものの
けっきょくまるっと無視して作りました。
次回はレイのお家にたどりつくのが目標です。




