32.女性の姿を見かけないのですが
ちょっと短めです。
「セクハラですよ?」
条件反射的に答えつつ、考えてしまう。
こちらの世界に来てから、まだ女性の姿って見たことない。
門兵さんたちの服装や街までの雰囲気からして、この世界は中世くらいのヨーロッパの文明かなと推測していた。
だけどレイのマントの下の服は近代の軍服に似ていたから、もっと近代よりの時代の世界かなとも考えていた。
どちらにしても自分の服装でいちばん気になっていたのは、ニットワンピとショートブーツの間の脚が丸見えだってこと。
タイツは履いているんだけどねー。
昔のヨーロッパって、女性の脚を見せるのは裸を見られるも同然とかっていうじゃん。
ハーレクインヒストリカルなロマンス小説だと、うっかり女性の脚を見てしまって大問題になったりしてたような。
まぁ私の知識なんて、ほとんど少女小説の受け売りだから、どこまで時代考証が正しいのか自信はない。
だけど、ここは異世界。
男性の服装が中世ヨーロッパっぽいからといって、女性の服装も同じくとは限らないんだった。
……女性の姿を見かけないのって、イスラム文化圏みたいに、女性は身内以外の男性に姿を見られるのはよくないって文化だからじゃないよね?
お出かけするときはブルカ必須とかだったらどうしよう。
つらつらと考えていると、今の自分がどう見られているのか不安になる。
おそるおそるレイや門兵さんたちの様子をうかがうと、門兵さんたちは私と目があうと気まずそうに眼をそらした。
レイは「セクハラ?」と首をかしげている。
あ。そうだよね。
セクラハラとか、ここでは概念ないだろうな。
「性的嫌がらせのことです。女性にむかって、体のラインの話をするなんて失礼ですよ?」
こっちの女性の服装って、ほんとどうなっているんだろ。
適当にさぐりを入れてみたいなーと考えつつ、レイを睨む。
と、レイはかぁっと顔を赤くした。
「性的って……、すすすすすすまないっ」
閲覧、ブクマありがとうございます。
相変わらず、ぜんぜん話が進みません。




