表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/162

27.話を合わせろとか言われてますが

話を合わせろって言われても。

私にはそんな臨機応変な演技力なんてないぞ。

なんという無茶ぶり。


せめて今の間に、どういう設定なのかだけでも教えてほしいんだけどな。

おずおずと見上げると、レイは唇をきゅっとあげて、いたずらっこのように笑う。

この人って見た目は氷でできた人形みたいに感情なんてありませんって雰囲気なのに、表情は子どもっぽい。

魔獣を倒していた時の真剣な表情は凛々しくてかっこよかったけど。

……じゃなくて、設定!

もう一回かがんでくださいって目で合図すると、レイはやけに嬉しそうに身をかがめた。


「なにも知らずに話を合わせるなんて、私には難しいです。どういう設定で門兵さんに許可をもらうおつもりなのか教えていただけませんか?」


「ん?けどよー、お前って演技とか下手そうじゃねぇか。俺がちゃんと話をつけるからよー。その場で素直に反応しとけばいいって。ただ自分が異世界から来たーとか、俺の話を否定するとかしなけりゃいいからよー」


「え……。あ、はい。わかりました」


任せとけって、レイは言う。

確かに私は演技なんてうまくないし、誰かに任せておけばうまくいくんならこのまま任せちゃいたい。

ただ、なぁ。


私は、まだ私のほうに身をかがめてくれているレイの耳元に唇をよせ、こっそり言う。


「レイは嘘をつくの、上手なんですか?」


今までのレイの態度を見ていると、頭脳派には見えなかった。

脳筋とまでは言わないけど、猪突猛進タイプには見える。

しゃべり方とかもチャラいしな。

人は見た目で判断してはいけませんっていうけど、人の見た目には、その人の価値観や生き方が現れるのも事実なわけで。

……いやでもレイの場合、見た目は頭よさそうに見えるんだけどね。

紫の目は冷たくも見えるけれど知性にあふれているようにも見える。

すっととおった鼻梁も薄い唇も、動というよりは静、肉体派というよりは知性派に見える。

だけどしゃべったら「けどよー」だし、笑うとガキ大将みたいだし。

いいひとだし頼れるけど、小器用な嘘がつけるタイプにはとうてい見えない。


「お前ってほんと心配性だよなー」


レイは喉の奥でくくっと笑う。

いや、普段はどっちかというとのんきなほうなんだけどね。

この状況がいろいろ不安を呼んでいるだけで。


心配性のレッテルはあまり嬉しくない。

不満を口にしようとしたとき、門兵さんが「はい、次ー」と私たちのほうを見た。

閲覧いただきありがとうございます。

ブクマもたいへん嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ