26.列に並んでいる最中ですが
ちょっと短めです。
私たちは、門の前に伸びる列の最後尾に並んだ。
並んでいるのは、20人くらいかな。
前のほうに並んでいるのは、たぶんこの街に住んでいる人なんだろう。
肩に背負った麻袋のようなバッグひとつしか荷物がない。
寒そうに身を寄せながら、列の順番を待つ間も、顔見知り同士でにぎやかにおしゃべりをしている。
その後ろに並んでいるのは、たぶん遠くの街から来たんだろうなっていう商人の一団。
ぎっしり荷物を載せているらしい馬車が3台と、周りを囲むように立っている男性が10名ほど。
彼らはお疲れのようで、列の進み具合を熱心に観察している。
私も背伸びしながら、列の進み具合を確認した。
今のところ、列は順調に短くなってきている。
街の住人らしき人々は、門番たちに手のひらサイズの木片のようなものをちらりと見せて、門の中に入っていく。
それを差し出す人々も、確認する門兵たちも、確認作業に慣れているらしい。
門兵たちは、住人らしき人々が見せる木片をじっくり見ることもなく、ちらりと視線を向けると、言ってよしと手でしめしている。
中には顔見知りなんだろう、門兵たちと親しげに言葉を交わしていく人もいる。
「今日は寒いなー」
「はやく家に帰って、酒飲みてぇわ」
「違いない」
そう笑って、人々はあっさり門を潜り抜ける。
「……これは、まずいんじゃないの」
門兵たちのやりとりを見ていた私は背筋がひやりとした。
とっさにレイの顔を見たけど、レイは前に並んでいる隊商の様子を観察していて、私のつぶやきには気づいていない。
前の馬車の中では、女性たちがおしゃべり中みたい。
にぎやかな笑い声が聞こえた時、私はレイのマントを引っ張って、彼に合図をする。
きょとんとこちらを見る彼に指で合図し、かがんでもらう。
こちらに顔を向けたレイの肩をつかみ、背伸びして耳元でささやいた。
「この門を抜けるのって通行証とかいるんですか?私、そんなの持っていませんけど…」
おそるおそる尋ねると、レイは私の頭を撫でる。
「だから門兵に話をつけるって言っただろー?ちゃんと話を合わせろよな」
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街の人々の服装なんかをどんなふうにするか考えていたら、夜になっていました。
でも街の中まで入れなかっという。
やたら歩みが遅いこの二人ですが、来週中にはレイの家までたどり着きたいです。




