23.政治の話はしないに限るなと実感していますが
「私の国には、王に類する立場の方はいらっしゃいますけど実権はないので、レイが考える王とは、かなり異なると思います。まったく王がいない国も、けっこうありますしねー」
「そうなのか!?」
さくっと説明したけど、レイの頭は理解が追い付かないようだ。
王がいない世界なんて、想像つかないみたい。
この世界って、ゆるぎなく絶対王政な世界なのかなぁ。
うーん、じゃぁこの世界は、国政においては中世から近世ってレベルなのかも。
近代に入ってたら、自分の国が王政をしいていても「王がいない国」って概念はありそうだし。
逆に古代だと、議会政治ってけっこうあるしな…。
「まぁ、そういう国もあるっていうだけですよー。私の国は、王様っぽい方もいらっしゃいますし!」
うっかり王政がないなんて話ちゃったけど、まずかったかも。
ここが絶対王政な時代だったら、王や貴族が上にたつ世界を批判するようなことを言ったら、危険分子だと疑われるかもって可能性に気づく。
やばいやばい。
異世界人なんて不安定な立ち場なのに、体制批判者だと思われたら詰むじゃん。
民主主義が叩き込まれている国民ですけど、異世界の国家体制を批判する気なんてぜんぜんない。
政治情勢につっこみをいれられるほど、ここの世界に長いする気もないですもん。
さっさと地球に帰りたいです。
なので、適当に絶対王政っぽいこの世界に迎合しつつ、話をそらす。
「レイは、なぜ森まで来られていたんですか?魔獣を退治するためですか?」
ぽてぽて歩きながら尋ねると、レイはあっさりと話題に乗ってきた。
「ああ。最近あの森で、ヨーダとかの魔獣がやたら出現するって聞いたからな。いちおう確認に来たんだ」
「確認?退治じゃなくてですか?」
本格的な退治は、仲間を連れて後日って感じなのかなぁ。
レイがたった一人で、あっさり魔獣を倒していたのを見ていたから、確認だけに来たっていう言葉には違和感があった。
不思議に思って尋ねると、レイは「あー」とうなりながら応えた。
「さっきヨーダを退治したのは、俺が気づいた時には、もうお前はヨーダに目をつけられていたからだよ。あのまま逃げるほうが危険だったしな。けどああいうのは、例外だよ。普通は、あんまり退治はしねぇんだよ」
「そっか。ヨーダって、倒したら仲間が集まってくるんでしたね?」
「それもあるけどなー。魔獣はよー、月の刻が変われば消えるだろ。だから基本的には、やり過ごすことが多いんだ。退治しても、次の月の刻には、また別のやつらが現れるしな。逆に見過ごしても、時間がすぎれば消える。わざわざ退治するメリットが少ねぇんだよ」
「…なるほど?」
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