21.年齢って重要だと思うんですが
思わず、じっと男の顔を観察する。
すべらかな肌は内側からのハリにあふれていて、目じりにも小じわひとつない。
さっき見た体つきも、10代の青年のように未完成な雰囲気は微塵もなかったけど、20代でも後半の人間ほどがっしりした体つきというわけじゃなかった。
すんなりとした、しなやかで強靭そうな体。
どう見ても、20歳をすこしすぎたところだと思うんだけど…。
「俺はいま、26歳だぜー?」
「そうなんですか…」
てことは、見た目予想プラス5歳くらいか。
微妙といえば微妙。
個人差でとおるくらいかなとも思う。
だけどこちらの世界の人間についても、地球と同じ人種の感覚が通用するなら、彼の見た目で26歳というのはかなり若く見えている。
日本人でも、26歳には見えないもん。
はー、さすが異世界。
不思議なことってあるもんだ。
「だからよー。お前も癒し人でも、俺のことを警戒する必要はないぜ?」
男は、よしよしというように私の頭を撫でる。
いや、それは本当に違うんですけどね。
「いえ…。別に警戒して隠しているわけじゃないんです。私の世界では『癒し人』みたいな能力はお話の中でしか聞いたこともありませんし、私もそんな能力はないです」
「そうなのか?」
男は、すこし首をかしげて、また私をまじまじと見る。
「その割には、見た目が若すぎやしねぇか?俺より年上には見えないぜー」
「…ありがとうございます?」
若いって言われるのも、ちょっと複雑な気分なんだけどね。
いや老けてるって言われるのも、恋人大募集中の独身者としては困るんだけどさ。
一度も正社員で働いたことのないアラサーとしては、自分の社会人能力のなさが若く見えるんじゃないかなーとか思っちゃうんだよね。
子どものいる人とかならさ、それはそれで「お母さん」や「主婦」って感じがあるじゃん。
ああいうのに、憧れる。
とはいえ、褒めてくれてるんだろうなーとは思うので、お礼を言っておく。
そんなこと、わざわざ言っても仕方ないしな。
それに、だ。
男が、26歳ってきいたら、だんぜん可能性を感じたっていうか。
だってさー。いちおう3歳年下ってことになるじゃん。
それくらいなら、恋愛対象として見るのも、許されると思うんだよね。
異世界人だし、見た目は20歳そこそこだし、チートで美形だし、恋人になれるとかはなくってもさ。
こっちがときめくのくらいは、許されるかなーなんてね。
読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマ、評価も大喜びです。
風邪がなかなか治りません。
皆様もお体ご自愛ください。




