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18.騎士様もいろいろ考えているようですが

やっぱり土下座かなぁー。

疎まれてもなんでも、助けてもらわなくちゃだめだしなーと思ってたら、抱きしめられました。

なんでだ。


男の腕から逃れようと身をよじる。

だけど男は、ますます私をぎゅっと強く抱きしめた。


「は、離してください……」


「悪い。……顔は、見ねぇから。このまま聞いてくれ」


ぱーどん?

顔って…、あ。そういえば、私が顔はお化粧がぐちゃぐちゃに崩れているから見ないでって言ったんでした。

いやでも、顔を見ないために抱きしめるって、どうよ?

しかし確かにこの至近距離で美貌の男に、マスカラがぐちゃぐちゃになった顔を見られるのは嫌だ。

迷いながら、私は抵抗をやめる。

と、男はほっと息を吐いた。


耳に!耳に、息がかかってますから!!


男性に免疫なんてありませんよ!?

男性に抱きしめられたり、息遣いを耳元で感じたりって、精神的にキツい。

これが今までに見たこともないレベルのイケメンだから、余計にな。

精神的にはある程度肉食だけど、体のほうは純情なんだってば。


内心で慌てふためく私をよそに、男はあまい声でささやく。


「不安にさせちまったんだよな。すまない。俺はただ、お前のことを家に誘うなんて卑怯だったかなと考えてただけなんだけどよー」


「卑怯……?」


見ず知らずの女を、家に誘ったことがですか?

場合によってはチャラい行動かもだけど、卑怯というのはなんでだろう。

なにせこっちは他に頼れるあてもない身だ。

放り出されたほうが困るんですが。


「お前って、異世界から来たんだろ?」


まだ半分納得できていないんだろう、男は疑問形で尋ねる。


「はい。おそらく、ですが」


「で、よー。つまり、こっちの世界では、頼りになるやつっていないってことだろ」


「…そうですね」


えー。現在進行形で、あなたを思いっきり頼るつもりなんですが。

これって牽制?

なんと言おうが、逃がす気はないですよ!?


だけど男は、また私の耳元でため息をつく。

だから、それ、凶悪だから。

私の耳が、死にそうだから。


「そんな寄る辺ない身の女に、家に来いってよー…。断りにくいだろ?お前、ここで俺に放り出されたら困るだろうし、ついてくるのがいちばん安全じゃねぇか。そんなお前の事情につけこんで、無理強いしてるんじゃないかって思ってよ」

読んでくださり、ありがとうございました。


寝坊しちゃったので、短めです。

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