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153/162

153.20歳のころに考えていた未来予想とは大きく違っていますが

連投です。

「でも、本当に私はゲームのシナリオは知らないんです。ですから、教えていただけないでしょうか。たしかその【王宮学校恋物語】っていうゲームって、私と同じ名前の【伊坂美咲】が主人公なんですよね。外見も、私を若くした感じの」


「やっぱり知っているんじゃないいいいいいいいいいっ」


「いや、知りませんってば!」


あぁ、もう。話が進まないなぁ。

とりあえず、こっちが持っている情報だけでも渡しておくか。


「あのゲームが発売されたのが、ちょうど私が20歳の時で。お祝いだか、記念だかで、母がゲームのヒロインの名前を私にしたんです。それで、ちょっと覚えていただけで」


思い返しても、微妙な気持ちだ。

だってそのゲームが完成して家でお祝いした時、お母さんは笑顔でこう言ったんだ。


「もう20歳なのに、美咲ちゃんは、ぜんぜん彼氏とかできないでしょ?だからゲームの中だけでもモテモテにしてあげたくて」


お母さんに、悪気はないのはわかっていた。

わかっていたけど……!


30歳になってもそれなりにモテなくはない私は、まだ若かりし20歳のころは普通よりはモテていた。

でもそれゆえの無頓着さと趣味に夢中だったせいで、彼氏はいなかった。

とはいえ、当時は自分ではまったく彼氏がいないってことを苦に思ってもいなかったんだよね。

彼氏なんていらないから、つくらなかった。あの頃は、ほんとうにそれだけだった。

でも、お母さんにそう言われてゲームを見せられた時は、情けなくて泣きそうな気分になった。


彼氏くらい、つくろうと思えばつくれます……!


ムキになって言い返すのも悔しくて言わなかったけど、あのままずっと彼氏ができなかったので、あの時言い返さなくてよかったなぁなんて思い返す。


いや、ほんと、あの頃はまさか30歳にもなってまだ彼氏もできていないとは予想してなかったんだよね。

なんだかんだ言って、20代の後半では結婚しているだろうなんて、ぼんやりと信じていた。


だけどずっと、好きな人さえできなくて。

まわりが結婚しだしたのを見て初めて焦りだしたものの、無理に好きでもない人と付き合うのって抵抗あるなぁなんて思っていたら、延々と好きな人ができないまま30歳になっていた。


ほんと時間って、ぼんやりすごしているとあっという間だよね。

お母さん、嫁にもいかず彼氏もいずで心配をかけていた娘は、いま、ようやく彼氏ができましたよ……。

異世界人だけどね。

あ、なんかちょっといろんな意味で泣きそう。

読んでくださり、ありがとうございます。


今回の連休は予定に余裕があるので、ちょこちょこ更新する予定です。

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