150.とっても混乱していますが
とりあえず、連投はここまでです。
下記、50話ごとにいれている3行あらすじです。
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異世界トリップした美咲は、聖騎士レイの屋敷に身を寄せ、恋人に。
数か月後には元の世界に戻るつもりの美咲と、この世界に留めたいレイ。
そんな時訪れたレイの幼馴染が、美咲が異世界人だと知っていて(確認中)
ローズマリー様はオットー様にすがりついたまま、私たちの視線から逃れるように、顔をぎゅっとオットー様の腕に押し付ける。
オットー様は、ローズマリー様の頭に頬をよせて、何事か彼女に囁きながら、あまい笑みを浮かべる。そしてすぐに真面目な表情に戻ると、私へと話しかけた。
「今の反応見て、確信した。ローズマリーの言うことだし信じていたつもりだったけど、俺も正直、こんなことが現実にあるとは思わなかったし、びっくりしてるんだ。けど、君が異世界から来た【伊坂美咲】なら、ローズマリーの話を信じてくれると思う。美咲さん」
「はい」
緊張しすぎて、へんな汗がでる。
私を別世界の人間だと知っているって、ローズマリー様はなんなんだ。
人の心が読める人間は、この世界にもいないらしいけど。
じゃあ、予言者とか、巫女とか、そっちの人なんだろうか。
なにより、私の正体を知っている彼女が、私を恐れているって……。
もし彼女が「なにか」を知っている人なら。私がこの世界で「なにか」をするってことなんだろうか。
彼女を、恐れさせるような。
この世界の人間にとって、害悪である「なにか」を……。
恐い。
オットー様の言葉を聞きたくなくて、でも聞かずにはいられなくて。
目を閉じて、彼の言葉を待つと、オットー様は思いがけない言葉を口にした。
「ローズマリーには、前世の記憶があるんだ。それでね、ローズマリーの前世は、【地球】の【日本】で暮らしていた女の子らしい」
「日本……?」
えっ、えっ、えっ。
ちょっと、待って。
私は、いま、混乱している。
とってもとっても、混乱している。
ローズマリー様は、やわらかそうなブラウンの髪に緑の目の、明らかに日本人には見えない女の子だ。
顔立ちだって、どう見ても日本人には見えない。
だけど、前世が日本人で、今はこちらの世界の住人なのだとしたら、外見が日本人でないのは当然だ。
それよりも重視すべきは、オットー様の口から「地球」や「日本」といった名詞がでたことだろう。
私の身元を調査して、あまりにも情報がでないから当てずっぽうで異世界人だと言ってみただけなら、そんな言葉は知らないはずだ。
ローズマリー様が「巫女」や「予言者」なら「日本」なんて単語も知っていても不思議はないかもしれないけど、オットー様の口から出たローズマリー様の「事情」は、まさかの彼女が前世の記憶持ち、で。
だけど、前世の記憶があるなんて。
それが本当なら、それって、つまり。
「転生者……?」
地球で愛読していた少女小説の、最近の流行のパターンのひとつだ。
そしてそのジャンルで、最近もっとも流行しているパターンといえば……。
「まさか、この世界は乙女ゲームの世界でした、なんて言わないです、よ、ね……」
それは、あまりにも馬鹿馬鹿しい想像で。
否定を求めて、口にした。
読んでくださり、ありがとうございました。
ローズマリーの正体については、ご予想どおりでしたでしょうか。
ちなみに、この世界は「乙女ゲームの世界そのもの」ではありません。
ご期待されると申し訳ないので、作中人物が知る前ですが、
ここでお伝えさせていただきます。




