147.何度でも惚れ直しそうで困っちゃいますが
ネタばらしが収まりませんでした。
ネタばらし回まで、更新続きます。
またローズマリー様、泣いちゃったよ……。
なんかこの子、精神力弱すぎ?だいじょうぶなのか?
いや、私もこっちの世界に来た当初は、ちょいちょい泣いちゃっていたけどさぁ。
オットー様は、ローズマリー様の頭をなでなでしながら、彼女に訊く。
「いい?」
ローズマリー様はぐずぐず泣きながら、オットー様にうなずいた。
「じゃ、ローズマリーに代わって、俺から話すな。美咲さん、レイ。それでいい?」
「あ、はい」
「オットー、お前な。そうやってローズマリーを無駄に甘やかすのやめろっていつも言ってるだろ!?お前のその甘やかし癖が、ローズマリーをますますダメにしてるってわかんねーのかよ」
私は、原因が気になるだけだから、オットー様の提案にうなずいた。
ローズマリー様にお話してもらうの待っていたら、陽がくれちゃいそうだしな。
けど、レイはそんなオットー様の態度を厳しく指摘する。
ほんと、レイっていい人だなぁと、私は自分の男を見る目に感心していた。
レイの指摘は、正しい。
これがいつものことだというなら余計に、オットー様がローズマリー様を愛しているのなら、余計にローズマリー様がきちんとお話するよう促すべきだ。
オットー様のすべきことは、彼女を諭すことと、彼女の味方でいることだろう。
今のオットー様のように彼女を甘やかして、彼女のすべきことに目をつぶってかばってやるのでは、結局のところ彼女のためにはならない。
……まぁ、今回の件が、相当「特別」なことなら、それでもいいかもしれないけど。
でも、レイのセリフから察すると、オットー様とローズマリー様の関係は、いつもこんなふうなんだろうな。
こういうのって、本当にローズマリー様のためによくないと思うんだ。
でもオットー様とローズマリー様にとっては、自分たちの関係はこれでいいんだろう。
そうなると、周囲が口をはさむのは面倒になる。
いくら相手のためを思って忠言しても、相手が一顧だにしないんじゃ、忠告する気持ちも失せるってもんだ。
彼らの古くからの知己であるらしいアーノルド様もダイアモンド様も、呆れたように見ているだけだ。
でも、レイは苦言を呈する。
きっとこれまで何度も無視されたであろう苦言でも、これからも何度も口にするんだろう。
そんなレイの「正しい」性格は、人によっては疎ましいだろうけど、私には眩しい。
私は他人のために、疎まれるだろう苦言なんて、ほとんど口にしない。
事なかれ主義で、適当にその場がすぎるのを一番に望んでしまう。
自分は他人に忠告するほどエラい人間じゃないってのも理由だけど、他人のために口を出して、嫌われる可能性があるなら、わざわざそんな自分のメリットのない行動はしたくないってのも大きな理由だったりする。
そんなダメな自分を自覚しているから、自分が好きになった相手が、こんな「いい人」なのがすごく嬉しかったりする。
あんまり「いい人」だと苦労も多そうだから、心配でもあるけどね。
読んでくださり、ありがとうございます。
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