143.ラブラブ夫婦に憧れるといっても、限度があるのですが
お久しぶりです。
ようやくちょっと目途がたちました。
さて、人様のおうちに招待され、館に到着したとたん、館の住人たる私(初対面)に食ってかかるというマナーの先生に見られたら「いちから出直してきなさい!」と怒られそうな態度のローズマリー様です。
ふだんからこういう子なのかなと思ったら、どうも違うらしい。
ローズマリー様を腕にぶらさげているオットー様は、ローズマリー様の頭をなでなでしながら、
「どうしたんだ?だいじょうぶだぞ?こわくないぞ?なにがあっても、ローズマリーは俺が守ってやるからな」
などと、心配と溺愛がこもった言葉をかけている。
自分が敵視されている状況でこんなこと考えるのはどうかと思うけど、やっぱりらぶらぶ夫婦って憧れる。
いいなー、ローズマリー様。
ローズマリー様はそんなオットー様の腕に縋り付いたまま、オットー様の名前を何度も呼んでいらっしゃる。
「オットー…。オットー…」
「んー?どうしたんだ?俺はここにいるぞ?」
「どこにも行かないで」
「行かないし、行くときはローズマリーと一緒だから。ローズマリーと俺はいつも一緒だろ?」
「うん…。うん。絶対だよ?ひとりでどこかに行ったりしたら、許さないんだからねっ」
オットー様は、ローズマリー様を抱きしめて、顔を覗き込みながら言う。
ぅわ、顔ちかい……。
ローズマリー様は涙目で、とても不安そうにオットー様にしがみついている。
けどさ、明らかにオットー様、ローズマリー様から離れてひとりでどこかになんて行きそうにないんですけど。
むしろどこにローズマリー様が不安に思う要素があるのか、伺いたい。
ローズマリー様の一連の行動が謎すぎて、ちょっとひく。
まぁ私の名前を知って、ローズマリー様が怯えているみたいなのに、誰も私に疑いの目をむけてこないのはありがたいんだけどさ。
なんで私、この方に、こんな怯えられているの?
すっごく気になるけど、ローズマリー様はまだオットー様しか目に入らないようだ。
そしてローズマリー様に抱き付かれているオットー様も、ローズマリー様以外のことは気にならないようで、あまい声でローズマリー様に語りかける。
「当たり前だろ。ローズマリーが嫌だって言っても、俺はローズマリーから離れる気なんてないよ」
「ほんとのほんとに?誓う?私から離れたりしたら、ぜったいぜったい許さないんだからねっ」
「ローズマリーから離れる俺なんてものがいるなら、俺自身でもそんな俺は許せないな」
えっと…。これ、止めるべき?
公衆の面前ですよーって言うべきかしら。
あまあまラブラブが好きな私でも、ちょっとめまいがするのですが。
だけど、レイもダイアモンド様もアーノルド様も、呆れたような表情をうかべているものの、生暖かい目で二人を見守っているだけだ。
フィリップ様はいつもどおりの穏やかな笑みで見守っていらっしゃるし。
誰も二人の間に割って入って、このあまったるい二人の世界を止めようとはしない。
「もしかして、これ、通常運転なの?」
レイの耳元でこっそり尋ねると、レイは苦笑いでうなずいた。
「今日はローズマリーの様子がおかしいけどよー、だいたいこいつら、いつもこうなんだぜ」
苦笑いしつつ答えたレイの顔がひきつっていたけど、これが通常運転なら、しかたないよね…。
読んでくださり、ありがとうございました。
ブクマや評価、ご感想ほんとうにありがとうございます。
おかげさまで、思っていたよりはやく続きに着手できました。
時間があると、つい他の方のお話を読んでしまって、
ついつい後回しにしてしまっていたのですが、
皆様のおかげで、なんとか目途がたちました。
しばらくちょこちょこ更新いたします。
またお付き合いいただけると嬉しいです。




