140.お客様が来襲なさいましたが
お久しぶりです。
ちょっと長めです。
そんな話をしていた翌朝。
お客様がいらっしゃった。
アーノルド・ニーザーシュタインとオットー・ミヒテンシュタイン、それにオットー様の奥様でいらっしゃるローズマリー様の3人だ。
なんと全員美形です!
まぁ、この家のメンバーみんな美形だからちょっと慣れつつありますが。
アーノルド様はサラサラの金髪が美しい正統派王子様みたいな外見の方だ。
体つきも適度にたくましくセクシー。
身に着けていらっしゃる服や装飾品も、豪奢でありながら彼をひきたてることを十分に意識した代物で、おしゃれなかたなんだろうなって、見た瞬間にわかる。
オットー様は、オリーブ色の肌に澄んだ緑の目が印象的な美男子だ。
快活で、いきいきした表情が、目をひく。
そんなオットー様にぴったり寄り添って立っているのが、ローズマリー様。
ミルク色の肌に、やや吊り上がり気味のおおきな緑の目。
やわらかいブラウンの髪がつややかなお人形さんみたいにかわいらしい女の子だ。
「よぉ、レイ!ダイアモンド!久しぶりだなぁ」
お客様がいらっしゃったとのバドーさんの伝言に、私とレイ、それにダイアモンド様とフィー様はお出迎えのために玄関ホールへと集まった。
すると真っ先に声をあげたのは、オットー様だった。
片腕にローズマリー様を抱き付かせ、もう一方の手をレイにむかってひらひらと振る。
にぱっと擬音語がつきそうな笑顔は、お日様のようだ。
レイも昨日なんだかんだいっていたくせに、嬉しそうにオットー様のほうへ駆け出す。
「お前ら、もう来たのかよ!はやすぎるんだよ!」
「ははは。なに言ってるんだよ、レイのくせに。俺たちに会いたくて、寂しかっただろ?」
オットー様は、レイの頭をくしゃくしゃと撫でながら言う。
レイはむっとしたように睨んで、
「はぁ?誰がお前たちなんかに会いてーかよ!」
…いや、会いたかったんでしょ。
今の出迎え見てれば、誰だってそう判断するって。
と、私は内心突っ込む。
もちろんその言葉を向けられた彼らも、レイの本音なんてお見通しだ。
オットー様はにやにや笑いをうかべ、はたで見ていたアーノルド様はとうとうつに色っぽい表情をうかべたかと思うと、レイの頬にそっと手を添える。
「つれないなぁ。俺はレイのこと、こんなに好きなのにね?」
「気色悪いこと言ってんじゃねーよ!アーノルド!おい、触んな!抱き付くな!キスすんな!」
アーノルド様の悪ノリは続く。
抱き付かれ、唇にちゅーされそうになったレイは必死で顔をそらそうとするが、アーノルド様の攻撃は止まらない!
レイの頭にそえた手に力をこめ、正面を向かせてちゅーしようとしている。
なんだこれ、びーえるですか?
「え?これは再会の挨拶じゃないか」
「挨拶のキスなら、頬にしやがれ!おいこらやめろ!舌いれようとすんな!」
しれっと言うアーノルド様に対して、レイの悲鳴は涙まじりの本物になってきている。
っていうか、舌いれたキスしようとしてんのかよ。
男友達の馴れ合いだと生暖かい目で見守ってきた私だが、さすがにそれは恋人として止めるべきかと、おろおろとレイの傍にかけよった。
すると、
「アーノルド、そこまでにしておいてやれよ。女の子が見てるぞ」
いつの間にか騒ぎから一歩退いていたオットー様が、静止してくださった。
即座にアーノルド様の手から力が抜ける。
そしてレイの傍にいた私に気づくと、今までの騒ぎなんてなかったかのように正統派王子様なロイヤルスマイルをうかべて言った。
「おや、こんなところでこんな美人にお目にかかれるとはおもわなかったな。お嬢さん、お名前をうかがってもよろしいですか?私はアーノルド・ニーザーシュタイン。君の美しさにおぼれる憐れな男です」
読んでくださり、ありがとうございます。
一気にキャラが増えました。
それなりに重要人物が混ざっているので、これからしばらく登場します。
お気にいっていただけると嬉しいです。




