135.夢には地図が必要かもしれませんが
学ばせなかったら、できるようになんてならないよ。
学べば誰でもできるようになるかっていったら、そうじゃないけどさ。
でもある程度は、できるようになる確率高いんだよ。
学ばせもせずに、相手には知能がないと決めつけるなんて、すごく腹が立つ。
この感覚こそが、私が「恵まれた」場所にいたんだなって証左だとしても。
そういうの聞くと、あー、むかし地球でも女は知能がないとか言われていたことあったよなーって思う。
ヨーロッパの大学とか、女子禁制だったもんね。
小説とかでも女が書いたっていえばまともに評価されないからって、男性の筆名つけたりとかされてたし。
日本だって、平安時代にはすでに日本が世界に誇る長編小説『源氏物語』やエッセイ『枕草紙』が書かれていたにも関わらず、閨秀小説家だの女流小説家だのってトクベツ表現が闊歩していた時代は、そう昔のことじゃない。
今の日本では大学進学率だって、短大を含めたら男子の進学率とそう変わらないんですけどね。
就職だのなんだのになると、まだまだ男性と伍して評価されているとは言い難いけど、素晴らしい先人たちのおかげで少しずつ変わってきている。
道を切り開くのは大変だけど、流れが変われば、以前の「当たり前」は「当たり前」じゃなくなる。
例えば今、「女は考える脳がないから、選挙権は与えられない」なんて言ったら、失笑されるだけだろう。
でも数十年前は、それが「当たり前」だったのだ。
「簡単な文字とか、計算くらいなら、かなりの人が覚えられると思いますよ。実用的だし」
「あぁ。全員が文字を読めればよー、契約だのなんだので騙されるやつらも減るだろうしよ。釣り銭ごまかされたりとかも減るだろうしな」
「…文字が読めるようになっても、詐欺は減らないんですけどね。まぁそれはおいおい…」
「あー、でもよー!考えるだけでわくわくする。だって、できるんだろ!?あいつらには文字を覚えるなんて、せいぜい名前くらいがせいいっぱいだろなんて笑われるけどよ、美咲のとこの世界で可能なら、こっちでだって可能性高いよな!?」
そんな話をすると、レイは本当に目をきらきらさせて、嬉しそうだ。
私は、むかし聞いた小話を思い出していた。
某テーマパークが初めてアメリカでお披露目された時、企画立案者はすでにこの世の人ではなくなっていた。
完成に居合わせた記者さんが、企画立案者のお兄様に「彼がこの開園を見られなくて残念でしたね」というと、お兄様はこう答えたそうだ。
「彼が初めにこのパークを見たんですよ。だからあなた方がいまこのパークを見られているのです」と。
レイの「夢」は「夢」なんかじゃない。
私はそれを知っているし、彼の「夢」を強固なビジョンを持つ実現可能な理想にしてみせる。
きっと「夢」は、夢を見ている人が実現可能だと信じられればきっとかなう確率があがると思うから。
読んでくださり、ありがとうございます。
某テーマパーク、どのあたりまで実名をあげてもいいか迷って伏せています。
よく経営が素晴らしいと指南書が出版されているあの超有名テーマパークです。




