107.高校生みたいな顔で孫とか言われても困るのですが
ありきたりの感想だけど、本心だ。
ダイアモンド様はそれを察したみたいで、猛烈な勢いで頭を縦に振った。
「そう!フィー様ってすっごいの!」
ダイアモンド様、フィリップ様のこと好きすぎるだろ。
美人の照れ顔うまいです。
好きな人を褒められてこの反応、ダイアモンド様って案外かわいい人なんだな。
「……ありがとうございます。ですがダイアモンド、恥ずかしいのでわたくしのことはそんなに持ち上げないでください」
「フィー様…」
いつの間にか、レイとフィリップ様もお話をやめて、私たちの話を聞いていたみたい。
フィー様は恥ずかしいとか言っているけど、その穏やかな笑みからは羞恥なんて感じられません。
対するダイアモンド様はみるみる頬を赤く染め、あきらかに恥ずかしそう。
あんなに主張してたのに、ご本人を目の前にすると恥ずかしいんですか。そうですか。
真っ赤になっているダイアモンド様はかわいい。
でも強かった。
フィリップ様を正面から見つめて、「ですが!」と強く言う。
「フィー様がすごい方なのも、私がフィー様を尊敬しているのも本当のことですから」
そこに「大好きです!」って付け加えてもいいんじゃないのって感じで、ダイアモンド様はうるうるした瞳でフィリップ様に言う。
楚々とした美女のあからさまな好意は、はたで見ている女の私でもどきっとした。
なのに推定500歳のおじーさまは強かった。
「ははは。相変わらずダイアモンドは、おじいちゃん思いですね」
おいこら。
この恥じらいの表情がおじいちゃんだと思っている相手に向けたものだったら、世の中勘違いのときめきがうまれまくりでしょうが。
案の定ダイアモンド様はまなじりに涙をためて、主張する。
「私は、フィー様のこと、おじいちゃんなんて思っていません!」
なのにフィリップ様は自分よりほんの少し背の高いダイアモンド様の頭をなでなでし、私に言う。
「ダイアモンドとレイモンド様の祖父は、わたくしの友人なんですよ。彼の息子のことも生まれた時から見ていたので、この二人は私にとっても孫のようにかわいくて。この子たちの父親が早々に亡くなったこともあり、この子たちのことはずっと傍で見守っていてあげたかったんですけどね」
「昨日、美咲にも言っただろ?俺が領主になった時、いろいろ無茶やったってよー。あれの関係で、『塔』から俺はにらまれちまってよ」
「そんなこと気にする必要はないと何度も申し上げましたのにね。……まぁそれもレイモンド様の成長のためには必要かと思い、わたくしも涙を呑んで遠くから見守るに徹していたのですが」
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