ガランド国到着
この章の冒頭以降は基本、悠人をユートとします(異世界風に)
悠人は草原に倒れていた。
獣の匂いや遠くに聞こえる声が少なくとも日本では無いことを感じながら目が覚める。
「ここはどこ・・・」
ガランド国であろうことは分かってるが、やはり初めての場所に来たので戸惑いながら呟いた。
『うーん、インパクトが弱いよな。インパクトが』
ゴードンがカメラを止める指示をしながら悠人に近づいてきた。
ゴードンは少し演出加えるからそこで寝てろと、指を鳴らすと急に睡魔が襲っていた。
それから30分位経ったのだろうか、悠人は顔面への違和感で目が覚めた。
獣の強い匂い、モゥーという独特の鳴き声。そして顔にねっとりと付く唾液・・・。
「ぎゃあああああ」
目の前にウシの舌があって冷静に『あっ、牛タンだ!』なんて思う人はまずいないはずだ。
悠人も例に漏れず悲鳴をあげたら草原の上を転がるように逃げた。
ウシの鳴き声から逃げるように走る悠人を見ながらゴードンはガッツポーズをしていた。カメラクルーは嬉々として悠人を追いかけた。
「で、ここはどこなんだ~~~」
『カット!』
ようやくガランド国到着のオープニングシーンが撮れたようだ。ゴードンをはじめテレビスタッフもホッとした様子だ。
悠人はゴードンに確認をとった。
「無事にガランド国に着いたのは嬉しいが、俺はこれからどうすればいい」
悠人はゴッドやゴードンからガランド国について殆ど情報を聞いていない。とにかく地球で展望が見えない未来よりガランド国で人生をやり直す一心だった。
だからこそ、皆が魔法を使ってることやガランドで金を稼ぐ方法など殆ど確認せずに勢いで来てしまったのも事実だった。
『ユート、最初に転職しようとしてた時に、転職サイトに何と書いてあったか覚えてるか』
「まだ数時間前の話だから流石に覚えてるさ。えっと、給料25万円でニューワールドって会社で仕事でしたよね」
ユートが覚えていた会社概要を伝えたところゴードンが1枚の紙を出してきた。それは転職サイトを印刷したものだった。
『これも一緒にこの世界に来た設定でV撮るからな』
ユートはそれを受け取るとポケットに突っ込んだ。
『よし、せーのアクション!』
「ここはどこだろう・・・日本じゃないよな多分。あれ、ポケットに紙・・・さっき印刷してた奴か」
「株式会社ニューワールドか・・・とりあえず探してみるか」
ユートは遠くに見える街に向かって歩き始めた。
草原から去りゆく背中をカメラは撮影していた。
遅筆な自分に>< もう少しがんばります。