プロデューサー降臨
まばゆい光に包まれた1DKの部屋。
ようやく強い光が収まり目も慣れるまで1分くらい経っただろうか、その強い光があった場所には1人の初老が立っていた。
それは、悠人がアニメやマンガなどで見た所謂神様と呼ばれる方に相違ない姿だった。
『ゴッドプロデューサー、忙しいところお呼び立てしてしまい申し訳ありません』
『なんのこれしき。で、そこにいるのが先ほど話に上ったユウトなる者か』
予想の斜め上だった“神様”と思しき人物の出現に固まってた悠人に2人の視線が刺さる。
『わしがゴッドという。この新番組のプロデューサーをやってる。で、ヤラセを提案してきたと聞いたが間違いないか』
悠人は足の震えを何とか抑えながら答えた。
「はい。はじめまして、早川悠人と申します。はじめに初見でこんな事お尋ねしてよいか分かりませんが、ゴッドプロデューサーは、地球で言われる“神様”であられるのでしょうか」
質問に対して答えていないのを分かりながらもまず、その事実を確認したかった悠人は数年間のサラリーマン人生で培った営業口調でゴッドに質問をした。
『いかにもワシは“神様”と呼ばれるものだ。もっとも担当はチキュウではなくガランド国もあるパラル星だが。ちなみにチキュウはワシの兄弟が担当してる。まあ、ワシも兄弟が何人いるかすらわからないだがな』
「ではもう1つお聞かせ下さい。何故“神様”であられるゴッドプロデューサーが民放テレビ局の一プロデューサーを務められているのですか」
ゴッドは苦笑いをしながら悠人に答えた。
『アルバイトじゃ』
「あ、アルバイトですか」
悠人も驚きを隠せなかった。そうすると暫く2人のやり取りを見ていたゴードンが話に加わってきた。
『最初はガランドテレビが開局したときにうちの社長がゴッド様にお会いされて名誉職で構わないからプロデューサーを引き受けてくれと頼み込んだのだ』
『そうじゃったの。最初は暇なときにテレビ局に行くだけであったが、働いてる人が楽しそうだったし、なによりガランド国で亡くなって天国に来た者たちが、「あの番組の続きを見たかった」とよく地上にテレビ番組の時間だけ行く者が多くての。そんなにテレビが楽しいならプロデューサーとして番組を持ちたいと言ったのじゃ』
ゴッドはテレビへの想いを語り続けた。
『そして初めて番組を作らせてもらった。その時タッグを組んだのがここにいるゴードンだ』
『そうでしたね。ただあの番組は・・・』
『わしがウケると思ったのが日曜夜6時から「パラル星の魔物をいただきます♪」という番組で、ちなみに魔物は栄養価高くて旨いんだ。その番組ではガランド美少女グランプリを獲ったユーナちゃんが魔物を美味しく食べるという番組で数字獲れると思ったんだがの』
ゴッドとゴードンがため息をついたので全てを察した。
「あまり良くなかったと」
『あっさり言ってくれるの・・・。まあそういう事じゃ。やはり夕飯時に魔物解体シーンはダメじゃったようだ。で、リベンジでわしとゴードンで組んでやる新番組が「実録ようこそガランド国へ」って訳じゃ。その新番組でヤラセ提案とは良い度胸だが、どういう事じゃ』
「はい。その時間だと明るいハラハラドキドキと癒しを兼ねる番組であれば数字は獲れるはずです。そしてゴッドプロデューサーやゴードンディレクターと私が組んでそういう感じに演出すれば数字もスポンサーも獲れます。」
ゴッドは暫く黙り考えた。
(『ゴッド様にテレビは分からないでしょうって言ってた局の奴らやスポンサーの鼻を明かすチャンスかもしれぬ。』)
『あくまでも演出の範囲内に留めるつもりじゃが、それでも良いか』
ヤラセで異世界行きが確定した。
(「あとはどこまでゴッドプロデューサー・・・いや神様に俺を演出《チート》してもらえるかが勝負だ」)
もう少しプロローグ続きます。本編まで今しばらくお待ちください><