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職業:女子高生(通りすがりの聖職者に愛の手ほどきを受ける)

作者: ハッチャソ

ウシチチ聖職者

『ひまねぇ』

『ねぇマスター、何か面白いことは無いの?』(酒飲み中)


マスター

『そんなに暇なら魔王退治にでも行ってください。

 強いんですから』(コップふきふき)


ウシチチ聖職者

『この前、男君を幼ちゃんに盗られたから行かない』(お酒おかわり)


マスター

『またそんな事を言って…』(シャカシャカ)


『それなら、新人育成なんてどうです?

 さっき女の子4人組が勇者登録をしてきたんですよ。

 装備はやたらと充実しているのに行動が危なっかしくて…』(酒注ぎ)


ウシチチ聖職者

『女の子を助けろだなんて、ロリコンさんね』(一気飲み)


マスター

『茶化さないでください。

 それよりどうです、どうです?面白いと思いますよ』(コップふきふき)


ウシチチ聖職者

『報酬は?』


マスター

『今月のツケをチャラにしてあげます』


ウシチチ聖職者

『交渉成立ね。モヒカン、行くわよ』


モヒカン

『アネさん、またお節介ですかい?』(呆れ顔)


ウシチチ聖職者

『なによぉ~、助けてあげた恩をもう忘れちゃったの?』(微怒プンプン丸)


モヒカン

『へいへい、分かってますって』(呆れ顔)



○月×日 ある町の酒場における会話







籠上ゆあ

『勇者登録は余裕だったな』


利根美ゆうほ

『そうですねー、一週間くらいかかるのかと思っていましたー』


本中しおり

『そんな事を言って。(ため息)

 早く終わったのは、酒場のマスターさんに手伝ってもらえたからじゃないか』

籠上ゆあ

『まぁまぁ、難しい事は言わないで。

 ここは一つ"勇者になれた記念パーティー"でもやろうよ。

 りかもそう思うよな?』


濱里りか

『私はパーティーなんて開かなくてもいい』(無表情)


本中しおり

『りか…気持ちは分かるけど、そんなに思いつめると体に毒だよ』


濱里りか

『私は大丈夫、もう元気になったから』(無表情)


利根美ゆうほ

『すぐに魔王退治へ行きたい気持ちは分かりますけど、

 ちゃんと準備しないと返り討ちに遭うだけですよ』


濱里りか

『それも大丈夫、兄さんが残してくれた装備があるから』(無表情)


籠上ゆあ

『よ…よーし、それなら手頃な魔王を退治してレベルを上げてから

 敵討ちに行こう。りかもそれならいいよな?』


濱里りか

『うん、でもみんなで行くことは無いよ。

 危険な旅になるのは本当だし』


本中しおり

『またその話しか。それなら前にも言っただろ?

 りかを一人で行かせるなんて、出来るわけ無いじゃないか』


ウシチチ聖職者

『賑やかね。冒険の準備かしら?』(ニコニコ)


籠上ゆあ

『誰だ、あんた?』


ウシチチ聖職者

『私は通りすがりの怪しい聖職者よ。

 話の腰を折っちゃってごめんなさいね。

 初々しい会話が聞こえてきたから、つい口を挟んじゃった』


濱里りか

『邪魔しないでください。

 私はすぐにでも魔王を倒さないといけないんです』(無表情)


ウシチチ聖職者

『勇ましいのは良い事だけど、気持ちだけじゃ魔王を倒せないわよ?』


濱里りか

『気持ちだけじゃありません。

 武器も防具も兄さんから受け継ぎました。

 これがあれば魔王に負けることなんて…』(剣を探すけど見つからない)


濱里りか

『あれ?無い。何で?』(焦り)


モヒカン

『探し物はこれかい?お嬢さん』(鞘で頭を叩く)


濱里りか

『返してください』(剣を奪い返す)


ウシチチ聖職者

『いくら気持ちが強くて装備品で力を底上げしていても、

 経験がないと魔王は倒せないわよ』


濱里りか

『じゃぁどうしろって言うんですか?

 私はすぐにでも兄さんの敵をとりたいんです』(激怒)


モヒカン

『そんなに怒ったら、かわいい顔が台無しだぜ』


濱里りか

『余計なお世話です。もうほっといてください』


モヒカン

『だからそう怒るなって。

 俺達も手伝ってやるからよ』


濱里りか

『手伝うって?』(困惑)


ウシチチ聖職者

『そこのマスターに頼まれたのよ。

 素人だけじゃ危ないから、しばらく面倒を見てやれって』


マスター

『……』(ウインク)


本中しおり

『でも私たち、報酬とか用意できないですよ』


ウシチチ聖職者

『それなら道中のモンスターからドロップするアイテムを

 全部もらうってのはどうかしら?

 レア物が出たときは換金して等割りか別途相談って事で』


本中しおり

『それで良いんですか?

 手伝ってくれるのはすごく助かりますけど』


モヒカン

『アネさんのお節介は筋金入りだからな。

 こうなったら諦めるしかないぜ』


ウシチチ聖職者

『モヒカン…後でお仕置きね』


~近所の廃墟へ移動中~

濱里りか<斬撃、斬撃>

籠上ゆあ<打撃、打撃>

本中しおり<射撃、射撃>

利根美ゆうほ<魔法、魔法>



ウシチチ聖職者

『あんた達、本当に攻撃メンバーしかいないわね。

 回復とかはどうするつもりだったの?』(呆れ)


濱里りか

『アイテムを使って回復するつもりでした』


ウシチチ聖職者

『罠や鍵のかかった扉が出たときは?』


濱里りか

『罠はこのメガネかければ、自動的に発見できますし、

 鍵はこっちの道具を使えば解除できます』


ウシチチ聖職者

『便利な世の中も考え物ね』


~廃墟最深部~



籠上ゆあ

『ここが最深部?何にもいないみたいだけど』


本中しおり

『そうだね。埃だらけだし、ここ最近何も立ち入ってないみたいだ』


利根美ゆうほ

『ひょっとして、逃げてしまったのでしょうか~?』


ウシチチ聖職者

『ここには初めから魔王なんていないわよ

 前に私たちが倒しちゃったから』


濱里りか

『どういう事?』(困惑)


ウシチチ聖職者

『こういう事よ』(光の玉を生み出す⇒りかに直撃)


本中しおり

『騙したって事ですか』(激怒)


モヒカン

『まぁ、そういう事だ。悪く思うなよ』

 (ナイフを一振り⇒しおり、首をはねられて死亡)


濱里りか

『しおりっ』


ウシチチ聖職者

『余所見をしている暇は無いわよ』

 (雷の一撃⇒ゆうほ、黒焦げになって死亡)


濱里りか

『っっっ、このーーー』(ウシチチ聖職者に切りかかる)


ウシチチ聖職者

『残念、一手遅いのよね』(魔法でゆあとの位置を入れ替える)


籠上ゆあ

『りか…にげ…て』(ゆあ、りかに刺されて死亡)


濱里りか

『そんな、何で…』


ウシチチ聖職者

『敵討ちをするって事は、自分がやられても文句を言えないって事よ。

 勉強になるでしょ』


濱里りか

『私のせいで…みんな、ごめん』


ウシチチ聖職者

『さーて、あなたを倒せば作戦終了ね。えいっ☆』

 (りかが殴られ、世界が暗転する)



……

………

…………



頭部に鈍い痛みを感じ、濱里りかは目を覚ました。

まだ意識がはっきりしないようだ。

周囲の呼びかけには答えず、ぼんやりと天井を見つめている。



籠上ゆあ

『よかった、意識が戻ったみたい』


本中しおり

『りか、しっかりしろ』


利根美ゆうほ

『大丈夫ですか~。お水飲みます~』



友人の声を聞き、濱里りかは飛び起きるが、

起きた途端に再び頭痛に襲われる。



濱里りか

『痛っ』(頭を抱える)


籠上ゆあ

『無理しないで。

 聖職者さんの魔法で悪夢を見せられた後なんだから』


濱里りか

『悪夢?』


ウシチチ聖職者

『そう。魔法であなたにとっての一番の悪夢を見せたのよ』


濱里りか

『どうしてそんな事を』


ウシチチ聖職者

『復讐に囚われて、周りの事が見えなくなっていたからよ。

 そんな状態で旅を続けていれば、いずれ悪夢が現実になるわ』


悪夢が現実になる。

それは兄に続けて大切な友人までも失うということだ。

そして自分の命までも。



籠上ゆあ

『それが、あのマスターから言われた事なの?』


モヒカン

『いや、マスターからの依頼は初心者講習だけで、

 これはアネさんの趣味…(ゴフッ』(聖職者の魔法でモヒカン吹っ飛ぶ)


ウシチチ聖職者

『モヒカン…お仕置きを追加ね』(ニッコリ)


本中しおり

『りか、立てるか?

 装備が重いなら私が持ってやるから』(心配)


利根美ゆうほ

『疲れた体に、お水だけじゃダメですよね~

 いまお茶を入れます~』(ほんわか)


籠上ゆあ

『ちょっとゆうほ、こんな所でティーセットなんて広げないで』(焦)


濱里りか

『みんな…ありがとう』


濱里りかは兄の死を聞かされて以来、初めて泣いた。



END

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