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たそがれる遊び人と惑う世界
赤い赤い。
流れるそれは赤い。
そんなもの、常識?
黒く、炭のような月が水に沈む。
蒼く、汚れた瞳が焔に舞う。
白く、澄み渡る空は霞みゆく。
何故、それを月かと言われれば、それは丸いから。
何故、瞳なのかと言われれば、それは泣くから。
何故、空であるかは、わからない。
曖昧な定義の上の不鮮明な景色。
水に沈んだ月の上、
崩れた柱に座るもの。
古火羅。
彼は、目の前にあった命を見つめていた。
海上の紅蓮は、今も瞳を離さない。
もう、いいのだ。
飽いてしまったのだ。
焼け落ちた月と、
煙の覆う空。
手の平で、それは実現した。
彼の手の平の上で、
彼は笑っていた。
泣けていなかった。
そもそも、泣くことも感じ得ていない。
興味すらない。
散りゆく筈の命さえ、
もう彼にはない。
彼は、
だから。