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奇縁たる会合
おかしな物だ。
息をきらしながらそれでも歩く。
神社からは、大分離れた。もう、あの男に追いつかれることはないだろう。
「ってか、いきなりなんだったんだよ!!」
吐き捨てた言葉は、やけに響いた。
家について、おもむろに鍵を取り出した。
鍵穴に差し込まれたそれを捻るが、感覚が違う。
開けたままで、出てきてしまっただろうか?
扉を開けて、目を疑った。
「おいっす。お邪魔してるよ。」
神社で見た、あの姿が床に座り込んでいる。
服装は変わらないが、廊下の奥に見えるその雰囲気はくつろいでいる。
「なんで、あんたが・・・」
鞄をその場に置き、部屋を見回した。
「自己紹介がまだだったねー。俺は古火羅。自称遊び人だよん。」
そういって、火羅は玄関へと歩いてきた。
遊び人?
ってか、不法侵入だろ!
「おいおい、そんな怒るなよー。別にーーー。」
悪気はないよ。
背後から、声が聞こえた。
思わず、背筋が棒のように伸びる。
お決まりのようだが、回り込まれたのがいつかは分からない。
「うーん、いいこと考えたー。」
眼前に現れた彼は、俺の瞳を覗いた後に笑った。
「君に世界の真実を見せてあげるよ。」