神社の出会い
「ふわぁ。終わったー。」
授業の終了を告げる鐘が鳴り響く。
とはいっても、どうせ電子的な音でしかない。
俺、塚里凜は高校生である。
成績は、ALL3。(体育は2)
平々凡々な、一般市民でしかない。
基本、授業とは束縛だ。
意味のない事を覚えている気がしてならない。
まあ、明日からは夏休みなのだ。
愚痴ることもせず。即座に家へむかった。
帰宅路の途中、俺は神社による。
意味は、単なる神頼みだ。
この神社は、小さくしなびてはいるが緑が青々と茂っている。
そのため、光を新緑が遮り、かすかにしか通さない。
見慣れた景色だが、今日は、少し違った。
人がいる?
その男は、ジーンズにポロシャツという爽やかな衣装だ。痩せてはいるが病的でなく。
立ち姿は、すらっとしているが、どことなく印象深い。
その視線は、どこかを見据えている。
「あの、どうかしましたか?」
訪ねた俺に視線を切り替え、そして俺を見据えた。
しばらく、こちらを見定めている。その姿に立ちすくむが、やがて男は口を開く。
「どうもしていないよ。ってか、君、地味だねー。」
その言葉に、少し引っかかるものがあった。
というより、いきなりダメ出しがくるとは思わなかった。
「凜君。君こそどうかしているだろうね。」
微笑みながら話す男に寒気がした。
「なぜ、俺の名を・・・。どうかしているつもりはないですが。」
男は、ぶらぶらと手を振りながら、気だるそうにこたえる。
「うん、からかっただけ。」
(--#)
「はったりだよ。はったり。別に嘘でもないし、本当でもないよ。」
男は、笑って手を左右に振り、こちらを嘲る。
ニマニマとした、表情は酷く楽しそうだ。
「・・・失礼します。」
そういって、早歩きで自宅に向かった。
ある程度歩いてからは、全力疾走である。
嫌だった。というより、いやな予感がした。
不吉であり、不気味。
なのに、
あの男に、親近感を微かに感じた。
彼は、一体。