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ふたりのかみさま

童話ということで、なんとなく、平仮名で書いてしまいました。


 むかしむかし、黒と白、ふたりのかみさまがおりました。


 かみさまには、おしごとがあります。

 ねがいをかなえてあげるおしごとです。


 でも、黒と白のかみさまは、ふたりでやっといちにんまえ。

 黒いかみさまは、なにかをあげて、ねがいをかなえます。

 白いかみさまは、なにかをとりあげて、ねがいをかなえます。

 つよいおもいに、みみをかたむけ、ねがいをかなえます。

 ふたりは、きょうりょくして、おしごとをします。


 ほら、また、かみさまへのおねがいです。

『かみさま、おいら、ずっとずっと、いじめられているんだ。いたい、いたい。もっと、つよいちからがあれば、いじめられなくなるのに』

 それをきいた、ふたりのかみさま。

 黒いかみさまがいいます。

「これは、ぼくのおしごとだね」

 黒いかみさまは、ちからもちでつよいからだをあげました。

『かみさま、おめぐみをありがとう。これで、おいら、いじめられなくなるよ』

 おねがいをしたひとは、かみさまにかんしゃのことばをおくります。


 しばらくすると、つぎのおねがいがとどきます。

『かみさま、あいつ、ちからもちになったからって、ぼくをたたくんだ。たすけれておくれよ』

 こんどは、白いかみさまがいいます。

「これは、わたしのおしごとね」

 白いかみさまは、たたいたひとから、たたくうでをとりあげます。

『かみさま、てんばつをくだしてくれて、ありがとう。ざまあみろ、だよ』

 うでがなくなってしまったひとは、ふじゆうなくらしをおくります。


 こうして、ふたりはおしごとをつづけるのです。


『ともだちがほしい』

『しごとがほしい』

『こらしめてやりたい』

『たすけてあげたい』

『すきになってほしい』

『おかねがほしい』

『いきたい』


 たくさんのおねがいをかなえてもらうと、ひとはいつしか、もらうねがいをめぐみ、うしなうねがいをばつ、とよぶようになりました。

 でも、かみさまたちにとっては、どんなねがいも、おなじねがい。

 めぐみもばつも、おなじねがい。


 あるひ、かみさまのところに、あたらしいおねがいがとどきます。

『かみさま、もう、ばつはいりません。わたしたちから、とりあげないでください』

 黒いかみさま、このおねがいに、こまってしまいます。

「どうしたらいいんだろう」

「わたし、ねがいをきくと、てんばつっていわれるわ」

「ぼくは、てんのめぐみっていわれる」

 かなしそうな黒いかみさま。

「でも、ぼくも、ばつをあたえたことはあるよ」

「でも、とりあげるのは、わたしのおしごと」

 白いかみさまがいいます。

「ねがいをかなえるのが、わたしたちのおしごと」

 そうして、白いかみさまは、じぶんをひとびとから、とりあげてしまいました。

 白いかみさまがとりあげられて、ねがいはかなえられました。

 もう、ひとびとから、なにかがとりあげられることはありません。


 ひとりぼっちになった黒いかみさま。

 ひとりになっても、おしごとをつづけます。

『かみさま、ぼく、あたまがよくなりたい』

 黒いかみさまは、かしこいあたまをあげます。

『かみさま、わたしは、びじんになりたい』

 黒いかみさまは、うつくしいからだをあげます。

『かみさま、せかいをほろぼしてしまいたい』

 黒いかみさまは、せかいをほろぼすちからをあげます。

 せかいがぼろぼろとくずれていきます。

 みどりのもりも、あおいそらも、あかいたいようも、くろくなってきえていきます。

 せかいがくろにそまっていきます。

『かみさま、せかいがほろんでしまいます。おすくいください』

『かみさま、わたしたちがまちがっていました。どんなばつもうけます。だから、おすくいください』

『かみさま、もう、ねがいはかなわなくていい。わたしたちも、どうなってもいい』

『かみさま、だから、せかいをおすくいください』

 ずっとかなしいかおだった黒いかみさま。

 ばつをのぞんだひとびとのために、白いかみさまをあたえます。

 黒いかみさまのとなりに、白いかみさまがかえってきます。

「ぼく、さいごのおしごとをするよ」

「わたしも、さいごのねがいをかなえるね」

 白いかみさまが、ひとびとがつくってきた、りっぱな、ほろぶせかいをとりあげます。

 黒いかみさまが、ひとがいきるには、ちょっとたいへんな、でも、うつくしいせかいをあたえます。

 白いかみさまが、かみさまへのねがいごとを、ひとびとからとりあげます。


 すくわれたひとびとはあたらしいせかいで、いきていきます。

 もう、ひとびとはかみさまにねがいません。

 こまったときには、となりのひとにたすけをもとめ、ほしいものはじぶんにねがいます。

 ふたりのかみさまは、いっしょうけんめいにいきていくひとびとを、ずっとみまもっています。


興味を持っていただいてありがとうございます。クワガタニシです。

せっかく感想をいただけたのでいつか書き直したいと思っていたのですが、

4年越しになってしまいましたorz


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― 新着の感想 ―
[一言] 面白いお話しありがとうございました。 罰というのは、つまり躾のようなものでやはり悪いことをしたのであれば当然必要ですね。悪いことをそのままにしておくと、ろくなことが無い事がよくわかるお話しで…
[良い点] かみさまという文字が見えたので飛んできました。 文体が童話的でよかったと思います。 [一言] 私が白い神様なら、 >『かみさま、もう、ばつはいりません。わたしたちから、とりあげないでくださ…
[良い点] なかなかに考えさせられる童話ですね。欲望の赴くままに滅亡へと突き進む人間が、やや滑稽でありつつも哀れに描かれていて、雰囲気が出ていたかと思います。 [気になる点] 最後に、滅んでいく世界で…
2012/04/19 21:15 退会済み
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