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婚約破棄シーンから学ぶ絶望感のある展開

掲載日:2026/04/10

「ローザ・スプワール、お前との婚約を破棄する!」


 夜会にて、伯爵令息ダリウス・デラシオンが、婚約破棄を言い渡した。

 艶やかな長い黒髪を持つ男爵令嬢ローザは、突然の出来事に愕然とする。


「ダリウス様、お待ちください!」


「お前にもう用はない。消えろ!」


 ダリウスが強く言うと、ローザはしずしずと夜会会場から立ち去った。

 それを見届けたダリウスは、自慢の金髪をかき上げ、高笑いする。


「ハハハッ! 婚約破棄ほど楽しいものはないな! 婚約破棄された女のあの絶望の表情が、俺に愉悦を与えてくれる!」


 ところが――


「なにを笑っているのです?」


「……!? この声はローザか!?」


 声がした方向を見ると、信じられない光景があった。


「ローザが……何人も!?」


 なんと100人以上のローザが、夜会にやってきていた。

 そのうちの一人が言う。


「今あなたが婚約破棄したローザなど、大勢いるローザのうちの一人に過ぎないのですよ。さあ、この数のローザを婚約破棄しきれるかしら……?」


 笑いながら迫ってくるローザ軍団に絶望し、ダリウスは悲鳴を上げた。


「ひええええええっ……!」


 絶望展開その1【倒した敵が量産型の一人に過ぎなかった】



***



「ローザ・スプワール、お前との婚約を破棄する!」


 夜会にて、伯爵令息ダリウス・デラシオンが、婚約破棄を言い渡した。

 ところが、ローザは平然としている。


「……ん? なんで平然としてるんだ?」


「ダリウス様、この世界のルールを知っていますよね。『貴族力』が高ければ、婚約破棄を無効にできるということを」


「ああ、もちろんだ。そして、俺の貴族力は伯爵令息としてはトップクラスの1万だ!」


 ローザは唇に手を当て、笑い出した。


「フフフ……」


「なに笑ってやがる、ローザ!」


「せっかくですし、私の貴族力をお教えしましょう」


「ふん、男爵令嬢のお前は高くてもせいぜい3000か4000ってところだろ」


「私の貴族力は53万です」


「な……!?」


「つまり、あなたに私を婚約破棄することは絶対にできないのです」


「う、うあぁぁぁ……」


 あまりの絶望的な差に、ダリウスは床に膝をつき、涙を流した。


 絶望展開その2【敵の方が強さの数値が圧倒的に上】



***



「ローザ・スプワール、お前との婚約を破棄する!」


 夜会にて、伯爵令息ダリウス・デラシオンが、婚約破棄を言い渡した。

 すると、ローザは殺気をあらわにする。


「ならば……あなたを殺す!」


「……なにっ!?」


 ローザは猛然と迫ってきた。

 しかし、ここでダリウスのために頼もしい援軍が駆けつけた。


 親友である伯爵令息ミカエル。

 デラシオン家家令ハワード。

 デラシオン家庭師アレク。

 デラシオン家御者マテオ。


 いずれも腕に覚えのある男たちである。

 頼もしい四人が現れ、ダリウスはホッとするが――


「邪魔よ」


 ローザの裏拳で、ミカエルは天井まで吹っ飛ばされた。


「ぶぎゃっ!」


 家令ハワードがローザに突っ込む。


「おのれぇ! ダリウス様はこの私がまも――」


 ローザに顔を鷲掴みにされ、ハワードは顔面を床に叩きつけられた。

 さらに、アレクは窓の外まで蹴り飛ばされ、マテオは抱きしめられ骨を砕かれた。


「ミカエル! ハワード! アレク! マテオ! うわああああっ……!」


 仲間たちを倒されたダリウスは絶望のあまり号泣した。


 絶望展開その3【味方が次々に倒される】



***



「ローザ・スプワール、お前との婚約を破棄する!」


 夜会にて、伯爵令息ダリウス・デラシオンが、婚約破棄を言い渡した。

 と同時に、体内で練り上げた婚約破棄パワーを、両手から一気に放出する。

 それは巨大な光線となって、ローザに向かっていき、会場が揺れるような大爆発を起こした。


「す、すごい……!」

「さすがはダリウス!」

「あれではローザ嬢もひとたまりもないだろう……」


 夜会出席者は凄まじい威力に驚愕し、ダリウスも勝利を確信する。

 ところが、煙の中から――


「まあまあ、効きましたね」


「え……!?」


 ローザはところどころ皮膚が焼け、ドレスが破れてはいるが、ほとんどダメージを受けていなかった。


「ですが、今のが必殺技だとするなら、ガッカリですね」


 ダリウスにはもう何も残っていない。


「終わった……」


 やれることといえば、絶望ぐらいのものであった。


 絶望展開その4【最強の必殺技が通用しない】



***



「ローザ・スプワール、お前との婚約を破棄する!」


 夜会にて、伯爵令息ダリウス・デラシオンが、婚約破棄を言い渡した。

 しかし、ローザは悲しそうな顔をするばかり。なにかをする気配はない。

 ダリウスが眉をひそめる。


「おい、話を進めろよ。お前が俺に絶望的なことをしてくれないと、読者が楽しめないだろ。絶望展開その5、その6、その7……って続いていくんだろ。で、最終的に大きなオチがついて盛り上がるんだろ」


 ローザは首を横に振った。


「もう……絶望的なことは、できないんです」


「できないってどういうことよ?」


「作者が書くのに飽きてしまって……。つまり、この話はもう……続きはありません」


「そ、そんな……!」


 ダリウスは叫んだ。


「作者ーっ! 続きを! 続きを書いてくれ! こんなのあんまりだ! せめて、キリのいいとこまで書いて完結させてくれーっ! 『ダリウスたちの婚約破棄はこれからだ!』とかでいいから!」


 しかし、答えが返ってくることはない。

 ローザはシクシクと泣き、ダリウスは絶望のあまり絶叫した。


「こんなのあんまりだあああああ……!!!」


 絶望展開その5【物語がエタる】






お読み下さいましてありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
本文も面白かったのですが、感想欄の皆様のネタに大笑いしてしまいました やっぱりコメディって本当にいいもんですね(水野先生風)
量産型を見て、四天王ネタ(奴はローザの中で最弱…)が脳裏に浮かんだ。 何処まで行っても釈迦(作者)の掌の上とは。なんと恐ろしい…。
 必死の思いでローザに婚約破棄したら、崖の上からメタルローザの大群が駆け下りてくるやつだ。
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