表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

旅人達

喪失

作者: えふぴー
掲載日:2025/11/28

キャラクター紹介


シュヴェル

生き残ってしまった狙撃手。

変わり果てた街を前に、何もできることはなかった。

実は家族が大好きだった。


世界観紹介

ローガルは雪原に存在した小さな国。

年中吹雪に襲われ、貧しい国だった。

ローガルの付近の土地には豊富な資源が眠っている。しかし、吹雪によって採掘することも向かうこともできなかった。

その資源を他国が目を付け、ローガルの土地を奪うため戦争を仕掛けた。


戦争が終わった。


戦争はローガルが勝利し、あの国ももう攻めてこないだろう。


兵士達は家に帰れる。家族との再会を今かと待ち侘びている。


はずだった。


戦場から帰ってくる兵士は居なかった。1人を除いて。


シュヴェル「...」


所々黒く汚れている服、一部が血の色で染まった髪の毛。

力無く倒れ、立つことが無くなってしまった狐の耳


たった1人の獣人の少年だけが、戦場から帰って来た。


戦争に勝利し、帰ってくる途中だった。

移動中のところをモンスターに襲撃に遭い、満身創痍だった部隊は壊滅。その惨劇を生き残ったのはシュヴェルただ1人だった。


シュヴェルは俯き、我が家へと帰る。


辺りは家だった瓦礫が一帯を占めており、焦げた匂いがどこにいっても追いかけてくる。


人の話す声も。明かりのついた家もなく、ただ一面に灰と瓦礫が漂っていた。


シュヴェル「...」


ふと足が止まった。なぜかこの辺り見たことがある。

しかし、周囲には知らないものばかり。

ここら辺はこんな殺風景ではない。ではなぜ見たことがある?


あぁ、そうか。


やはり無事じゃなかったんだ。



突然一つの瓦礫の山に上り、何かを探すかのように掻き分ける。


シュヴェル「...」


小さな手で瓦礫を退ける。いくつかの瓦礫は触っただけで壊れてしまったり、粉々になったりしてそこまで大変ではなかった。


側から見れば、なぜ瓦礫を掻き分けているのか理解できないだろう。

しかし、この少年は分かっている。


ここが我が家だと。



シュヴェル「...っ」


触った瓦礫の一つに尖ったものがあり、手を軽く怪我してしまった。しかし、こんな傷どうでもいい。仲間達のことを思えば...


辺りに響く悲鳴と爆発音。

嫌でも入ってきた火薬の匂い。

土煙と共に上がる赤い炎。


目の前で、紅く染まり動かなくなった仲間。


虚な目で、こっちをみている。


笑顔が好きだった親友も...この手で。



手から流れる赤い血を見て、嫌なことを思い出してしまった。


...仲間の死を嫌で表すのは気が引ける。


シュヴェル「っ!」


あぁ、見つかった。


見つかってしまった。


瓦礫の下から、黒く焦げた何か。

おそらく、人だったものだろう。


我が家だった瓦礫の下から、人の死体。それも2つ。


...考えなくてもわかる。家族、家族だったものだ。


シュヴェル「...」


貴方たちは、貴方たちだけは生きていて欲しかった。



あの時のように、温かく出迎えて欲しかった。


シュヴェル「ごめんなさい」


二つの黒い塊を抱えて、瓦礫のないマシな場所まで運ぶ。


途中、一つの黒い塊が折れて、一部が落ちてしまった。


それも再び拾い、また歩き始める。



瓦礫ではなく、土が見える場所まで来れた。

掘って、穴をふたつ作った。

さっき切れた傷に土が入って痛かった。



あの時のように、墓を作る。


仲間が死ぬ度に、墓を作った。


せめて、安らかに。

そう思って作っていた。


その時は泣きながら墓作っていた。

涙で前が見えず、うまく作れなかった。


しかし、墓が増えていくうちに、墓を作るのもうまくなった。

成長したのか、涙だって出ていなかった。

誇れるのだろうか。


黒い塊を埋め、墓を建てる。

あの時と同じように。


しかし、うまく出来なかった。


なぜ?なぜ手が震える?

ただ、墓を作るだけなのに。


次第に雨が降り始め、周囲が濡れ始めた。


前がよく見えないのも、雨のせいだろう。


確かに雨が降っているのに、音が聞こえない。


瓦礫の色のせいか、世界が白黒に見えた。


なんとか墓作りを終え、狙撃銃を抱えて一瞥する。



何もなくなったものに、もう用はない。



宛もなく、どこかへ歩き始めた。


おわり

今回はシュヴェルの過去の物語。

始まりの物語と言ってもいいかも。

シリーズ詳細にある少女たちの登場は少し先だから少々お待ちを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ