喪失
キャラクター紹介
シュヴェル
生き残ってしまった狙撃手。
変わり果てた街を前に、何もできることはなかった。
実は家族が大好きだった。
世界観紹介
ローガルは雪原に存在した小さな国。
年中吹雪に襲われ、貧しい国だった。
ローガルの付近の土地には豊富な資源が眠っている。しかし、吹雪によって採掘することも向かうこともできなかった。
その資源を他国が目を付け、ローガルの土地を奪うため戦争を仕掛けた。
戦争が終わった。
戦争はローガルが勝利し、あの国ももう攻めてこないだろう。
兵士達は家に帰れる。家族との再会を今かと待ち侘びている。
はずだった。
戦場から帰ってくる兵士は居なかった。1人を除いて。
シュヴェル「...」
所々黒く汚れている服、一部が血の色で染まった髪の毛。
力無く倒れ、立つことが無くなってしまった狐の耳
たった1人の獣人の少年だけが、戦場から帰って来た。
戦争に勝利し、帰ってくる途中だった。
移動中のところをモンスターに襲撃に遭い、満身創痍だった部隊は壊滅。その惨劇を生き残ったのはシュヴェルただ1人だった。
シュヴェルは俯き、我が家へと帰る。
辺りは家だった瓦礫が一帯を占めており、焦げた匂いがどこにいっても追いかけてくる。
人の話す声も。明かりのついた家もなく、ただ一面に灰と瓦礫が漂っていた。
シュヴェル「...」
ふと足が止まった。なぜかこの辺り見たことがある。
しかし、周囲には知らないものばかり。
ここら辺はこんな殺風景ではない。ではなぜ見たことがある?
あぁ、そうか。
やはり無事じゃなかったんだ。
突然一つの瓦礫の山に上り、何かを探すかのように掻き分ける。
シュヴェル「...」
小さな手で瓦礫を退ける。いくつかの瓦礫は触っただけで壊れてしまったり、粉々になったりしてそこまで大変ではなかった。
側から見れば、なぜ瓦礫を掻き分けているのか理解できないだろう。
しかし、この少年は分かっている。
ここが我が家だと。
シュヴェル「...っ」
触った瓦礫の一つに尖ったものがあり、手を軽く怪我してしまった。しかし、こんな傷どうでもいい。仲間達のことを思えば...
辺りに響く悲鳴と爆発音。
嫌でも入ってきた火薬の匂い。
土煙と共に上がる赤い炎。
目の前で、紅く染まり動かなくなった仲間。
虚な目で、こっちをみている。
笑顔が好きだった親友も...この手で。
手から流れる赤い血を見て、嫌なことを思い出してしまった。
...仲間の死を嫌で表すのは気が引ける。
シュヴェル「っ!」
あぁ、見つかった。
見つかってしまった。
瓦礫の下から、黒く焦げた何か。
おそらく、人だったものだろう。
我が家だった瓦礫の下から、人の死体。それも2つ。
...考えなくてもわかる。家族、家族だったものだ。
シュヴェル「...」
貴方たちは、貴方たちだけは生きていて欲しかった。
あの時のように、温かく出迎えて欲しかった。
シュヴェル「ごめんなさい」
二つの黒い塊を抱えて、瓦礫のないマシな場所まで運ぶ。
途中、一つの黒い塊が折れて、一部が落ちてしまった。
それも再び拾い、また歩き始める。
瓦礫ではなく、土が見える場所まで来れた。
掘って、穴をふたつ作った。
さっき切れた傷に土が入って痛かった。
あの時のように、墓を作る。
仲間が死ぬ度に、墓を作った。
せめて、安らかに。
そう思って作っていた。
その時は泣きながら墓作っていた。
涙で前が見えず、うまく作れなかった。
しかし、墓が増えていくうちに、墓を作るのもうまくなった。
成長したのか、涙だって出ていなかった。
誇れるのだろうか。
黒い塊を埋め、墓を建てる。
あの時と同じように。
しかし、うまく出来なかった。
なぜ?なぜ手が震える?
ただ、墓を作るだけなのに。
次第に雨が降り始め、周囲が濡れ始めた。
前がよく見えないのも、雨のせいだろう。
確かに雨が降っているのに、音が聞こえない。
瓦礫の色のせいか、世界が白黒に見えた。
なんとか墓作りを終え、狙撃銃を抱えて一瞥する。
何もなくなったものに、もう用はない。
宛もなく、どこかへ歩き始めた。
おわり
今回はシュヴェルの過去の物語。
始まりの物語と言ってもいいかも。
シリーズ詳細にある少女たちの登場は少し先だから少々お待ちを。




