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虹の宮  作者: りゅぬ
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砂の月3-1

「桜〜、起きろ〜、朝ごはんだぞ〜」


お兄ちゃんに起こされて眠い目を擦りながら朝ごはんの席に着く。今日はお父さんもお母さんもお兄ちゃんもお仕事だ。


試しの門の儀式を終えた6歳の子供たちは、やっと里の外に出られるので、緑の宮ではこの砂の月の前半の間に、両親や近所の人達に森や畑や牧場に連れていかれる。そこでの注意点を色々学ぶためだ。後半になると自分の貰った技術や才能適したグループを神殿から紹介してもらい、仕事の様子を見学したり実際に作業を手伝ったりしながら、来月からどこで手伝いをするのかを決めることになっている。


あたしは紫の宮の学び舎に行くけれど、森での注意事項は知っておいたほうがいいということでお母さんのお仕事にくっついて森に行くことになった。一人でお留守番じゃない! 初めての森!すごく楽しみだ! 寒くなって来たから重ね着しなさいとお母さんに言われて、3枚シャツを着てズボンも2枚重ね着し、昨日貰った竹の籠にお弁当を入れて準備完了。さぁ、森に出発だぁ。


ってここは神殿? 神殿に森があるの?って聞いたら森に行くのにも門を使うんだよって教えてもらった。昨日と同じように巫女様に門の通行届を出して門の広場にやってきた。昨日は気づかなかったけど、都への大きい門よりもちょっと小さい門が奥にあった。いつも同じ森に行くんじゃ季節によって実りとか獲物の種類や数とかが変わるらしく、各郷を管理しているお貴族様が毎月1日に、今月はここにしようと門の行き先を変えるらしい。ふむふむ。


お母さんと手を繋いで門を潜ると森の中だった。門の周りには既にたくさんの大人がいた。ここでお父さんとお兄ちゃんとはお別れ。お母さんのいうことをよく聞くんだぞってあたしの頭をぐりぐり撫でて、それぞれのお仕事グループに走って行った。あたしはお母さんが属しているグループに連れて行かれ、今日1日森のお勉強をさせて下さいとご挨拶。お母さんのグループは20人でそれぞれの里から1人ずつ来てるんだって。みんな優しそうな人達で良かった。迷子になったら困るから必ずお母さんの側にいること、万が一はぐれたらうろうろしないでその場でじっとしていること、色々なものに不用意に触らないことをグループ長のおばさんと約束していざ出発。


森の門の広場を出ると鳥の鳴き声や木々の風に揺れる音が聞こえてきた。門の広場には結界が張られていて、外の音は聞こえないし、勝手に動物とかが入ってこれないようになってるんだって。先頭のグループ長さんが、時々木の幹に5って書かれた赤色の紐を巻く。迷わず戻ってこれるように各グループの人達はそれぞれ違う数字の書かれた紐をあちこちに結ぶんだって。森の中で赤色の紐を見たらそれには絶対触っちゃいけないって教えてもらった。勝手に解いたりしちゃったら戻ってこれなくなっちゃうもんね。後、黄色の紐を見つけたら、そこからは危険だって印だから絶対に近寄っちゃだめって言われた。


歩きながら、この葉っぱに触るとかゆくなっちゃうから触っちゃだめとか、あの木は水が採れるとか、この葉っぱは食べられるとか色々教えてもらった。試しに食べられる葉っぱを食べてみたけど……美味しくなかった。お肉に巻くと美味しいらしい。食べる前に言って~。


1時間ちょっとくらい歩くと、グループ長さんが今日はこの辺りで採りましょうって立ち止まった。まずは笛の葉っぱが配られてちゃんと鳴るか確認。葉っぱを指で弾くとキーンってちょっと高い音が鳴った。これを時々鳴らしてきのこ採りに夢中になりすぎてみんなとはぐれないように確認するのよってお母さんが教えてくれた。


あたしはお母さんにくっついてきのこ探し。きのこってうじゃうじゃそこら中に生えているのかと思ったらそうじゃなくて、木の根元にちょこっとだけ顔を出してるのを見つけてそれを掘るんだって。ベテランさんはそのちょこっと見えてる部分でなんのきのこかわかっちゃうらしい。お母さんに教えてもらいながら、きのこの頭とにらめっこしたり、お母さんのみつけたきのこを掘るのを手伝ったりしてるうちにお昼の時間になった。

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