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虹の宮  作者: りゅぬ
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砂の月1-2

「全員顔をあげなさい。これから試しの門の儀式を行う。ついてきなさい」


ゾロゾロと神殿長の後を皆でついて行く。扉を潜り階段降りまた扉を潜り……最後の大きな扉の前で神殿長は足を止めた。そして扉を開き


「中の門が見えるか?あれが試しの門だ。ここから先へは1人ずつ入ってもらう。生涯であの門を通り抜けるのは1度のみ。女神様がそなたたちに相応しい贈り物を下さるであろう。女神様に祈りながら門を通りなさい。通り抜けたら先に巫女が待機しているので後はそのものの指示に従うように。では名前を呼ばれたものは前へ。1の里の藤」


一人の女の子がおずおずと前に進む。


「では中へ」


皆興味津々でじっと中を見つめる。真っ白な門に向かって歩いていた藤の姿ふっとが消えた。



「5の里の(ふき)


次々に名前が呼ばれていきとうとう私は最後の1人になってしまった。本当に名前呼んでもらえるの? と不安になりながら神殿長を見ているとやっと呼ばれた。


「4の里の桜」


あたしの番だ! と扉を通り門の前へ進む。外からは真っ白な門に見えていたのに、中に入るとキラキラと虹色に輝いていた。

うわぁ綺麗〜と思いながらお馬さんと仲良くなれますようにとお祈りしながらゆっくりと門をくぐった。


(くすくす……お馬さんと仲良くなれるように……くすくす ……いいでしょう、あなたには動物たちとお話ができる力を与えましょう。そしてこっちが本来の貴方への贈り物、新しい名前桜悠(おうゆう)を授けます。しっかり勉強なさい)


と頭の中に声が響き、桜悠(おうゆう)という名前があたしの魂に刻み込まれた。


えっ! すごくない? お馬さんとお話ができるようになるの!? それならお馬さんとも絶対お友達になれね! 新しい名前ってのはよく分からないけど、お父さんが女神様から贈り物を頂いたらちゃんとお礼を言いなさいって言ってた!


「女神様ありがとう」


(どういたしまして。それから今1つ、1日に1回、時を止めることのできる力をあなたに。他人に干渉することはできないけれど、上手く使うことができればあなたの力となるでしょう。でもこれはあなたと私との秘密。 他の人にこの能力のことは話してはいけません。約束できますか? )


  時を止める力ってなんだろう? でも女神様が話しちゃダメっていうなら絶対誰にも喋ったりしない!


「うん、桜お約束できる! 」


(ふふふ、でもあなたの名前はもう桜悠(おうゆう)ですよ。桜悠(おうゆう)の未来が幸あるものとなりますように)


キラキラと虹色の光が注がれる中門を通り抜けるとそこは本当にお庭にだった。さっきまでお部屋の中だったのにとっても不思議。巫女様の後をついて行くと笑顔のお父さんとお母さんとお兄ちゃんの姿が見えた。


「お父さーん、お母さーん、おにいちゃーん! 」


手を広げてお父さんがあたしを迎え入れてくれ抱っこしてくれた。


「おかえり。女神様から何をもらったのかな? 馬さんと仲良くなれそうか? 」

「あのね、あのね、お馬さんとお話しがでるんだって! 」

「馬とお話ができるようになったのか! それは凄いな。じゃぁ父さんと今度牧場に行こう」

「うん! お馬さんがたくさんいるんだよね」

「そうだぞ〜。仲良くなれるといいな」

「桜、じゃなかった! 桜悠(おうゆう)お馬さんといっぱいお喋りする〜! 女神様がね、新しいお名前もくれたんだった〜」

「さ、桜、今なんて言った? 」


 その瞬間お父さんとお母さんの顔が凍りつく。その様子を怪訝そうに見ながらお兄ちゃんが名前ってなんなんだ?と呟いた。うん、私が聞きたい。


「えっとね、桜悠(おうゆう)っていうのが新しいお名前なんだって。女神様が贈り物だって言ってたけどお名前が贈り物ってなんだろうね?」

「まさか……そんな……」

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