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創世のルキエル  作者: ウルハ
リリアナ姫編
55/57

強制☆お泊まり会♡とリリアナ姫のヒ♡ミ♡ツ♡

***


「――で、今日は泊まるわよね?」


お茶会の後、ソファでクッションに埋もれながら、リリアナがルアンとミレアをにこ〜っと見つめる。


「えっ?」


ルアンとミレアは顔を見合わせる。


「いや、でも僕たち……王族の部屋に泊まるなんて、さすがに……ね?」


「うん……だって、今はノインの家に泊まらせてもらってるし……」


ルアンが苦笑しながらそう言った瞬間――


「はぁ!? なに言ってんの!?」


リリアナが急にムクっと起き上がる。


「私が“泊まれ”って言ってるんだから、泊まりなさーい!」


「え、ええええ!?」


「こっち側なんて、どうせ誰も来ないし!それにお風呂もある!ご飯もある!もちろん私専用の!ぜーんぶ使っていいから!!」


両手を腰に当てて、ドヤ顔で立ち上がるリリアナ。


ミレアがぽつりとつぶやいた。


「専用……って、なんかすごい単語が聞こえたような……」


「姫、さすがにそれは……」


困り顔でノインが言いかけた、その時。


ズイッ!!!


ゼロ距離でリリアナが顔を寄せる。


「あなたたちも!今日泊まりよ。強制ねっ!!」


「……っ」


ノイン、絶句。


セレドに助けを求めて横を見るが――


「……」


セレドはもう目を閉じて諦めた顔で、何も言わずうなずいた。


(この姫には勝てない……)


 


というわけで――


その晩、全員がリリアナの部屋で“強制お泊まり”することになった。


* * *


リリアナの謎ゲーム大会やら、豪華すぎるパジャマショーやら、全員を巻き込んだぬいぐるみファッション審査会やら、もう誰も止められなかった。


「ふふっ……もう、お腹痛い〜!笑いすぎた〜!」


クッションに倒れ込んだリリアナが、ぬいぐるみを抱えながら大の字に転がる。


ルアンもミレアも息を切らせながら、ソファの隅でくったりしていた。


「……姫って、どこまで体力あるの……」

「もはやちょっとした怪物だよね……」


「なーんか聞こえた気がするけど〜〜?」


リリアナがにやっと笑い、クッションをひとつ投げる。


「よしっ!じゃあ次は……」


「ま、まだ何かあるの!?」


「あるわよ? だって、ほら――」


ばっ!と立ち上がって、両手を広げる。


「ご飯、食べに行きましょ!!」


そして――


たっぷり遊び尽くしたあと、夜。


大きな食卓に、ずらりと並ぶ豪華な夕食。


一同はその迫力に圧倒されながらも、どこか不思議な違和感を覚えていた。


「……ねえ、リリアナって……普段、誰とご飯食べてるの?」


ルアンの何気ない問いかけに、空気が少しだけ止まる。


 


「え? いつも一人だけど?」


リリアナは、まるでなんでもないことのように、にこっと笑って答えた。


「ほら、私って“隔離”されてるし?『特別だから』ってことで、小さい頃からここなのよー!」


「……特別……?」


「うんっ」


リリアナはフォークをくるくると回しながら、あっけらかんと続ける。


「……この部屋にいれば、誰の目にも触れない。世間には“病弱”ってことで通ってるけど……実際はちがうの」


そう言って、リリアナはフォークを置いた。


「ほんとは、ただ――」


「“完璧じゃないから”よ」


「見た目も、思考も、性格も。全部この国の理想から外れてるって。だから“王族として見せられない”って」


「私の存在を知ってる人たちからすれば、私が表に出たら、王族の価値が落ちるらしいの」


笑いながら語るその横顔は、いつも通り明るかった。


けれど――明らかに、それは“強さ”だった。


「だからさ、こうして一緒にご飯食べてくれるだけで、私にとってはちょっとした奇跡なんだよ?」


リリアナがそう言って、にっこり笑う。


沈黙――みんなの胸にじんわりと何かが広がる。


と、その空気をぶち壊すように、


「……ってかミレアちゃん」


「へっ?」


突然リリアナがミレアを見て指差した。


「胸、ないわね!!」


「なななっ……はあああああああっ!?!?」


空気が盛大に吹き飛んだ。


「野に咲く小さな花みたい!まぁ、まだ小さいからそのうちでっかくなるわよ!!ドーンって!」


「な、なによ急に!?私こう見えて18よ!?」


「……えっ、18歳だったんですか!?」


横からノインの声が割り込む。


「てっきり……12歳くらいかと……」


「言いすぎだろっ!!」


「身長と……線の細さと……いや、表情が……あ、いや違う……その……」


ノインが動揺して手をばたばたさせてる中、


「……あらあらあらぁ〜〜〜〜〜?」


リリアナはにやぁ〜っと笑い、椅子の背もたれにふんぞり返る。


「じゃあもう……どんなに栄養とっても、胸は育たないわねぇ〜〜〜〜!!」


「ぐっ……!!」


ミレアの顔が真っ赤になり、拳をぎゅっと握る。


ぷるぷる震えながら、心の中で叫んだ。


(この国の姫……やっぱ嫌いっっっ!!!)


 


ルアンは苦笑いしながらスープをすするふり。


ルキエルは目を逸らして爆笑を我慢している。


セレドは……ガッツリ壁に向かって完全に魂を旅立たせていた。


 


――完璧主義の国で生きる、不完全で最高に自由な姫。


そんな彼女に、誰もが少しずつ引き込まれていく夜だった。


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