囚われの♡姫♡様♡の♡脱☆走☆計☆画☆
「さあ、これが私の――最新脱走計画よ!」
リリアナがノートをバーンと机に広げる。
中には、手描きの地図にカラフルなシール、謎の線と「ここ掘れ!!」の文字、そしてやたらとスイーツのスタンプが散乱していた。
「うわぁ……」
ルアンが素直に声を漏らし、ミレアは口元を押さえながら「なんかもう、逆にすごい……」と呟いた。
「……姫……」
ノインが慎重に口を開く。
「その私の記憶が間違ってなければ……毎回脱走てませんでしたか?記録に残ってるだけでも、35回くらい……」
その言葉に、リリアナは「はっ!」と目を見開き――
「な、何言ってるのよ!あれは“下見”よ、したみ!」
「下見……?」
「そうよ!都会ってどんな感じかな〜って思って、ちょっと!ね!?風とか空気とか雰囲気とか、ほら、そういうの!」
苦しすぎるごまかしに、ルアンとミレアが無言でノインを見た。
ノインは一拍遅れて気づき――
「……っ」
すっと目を逸らした。
完全に「もう慣れてます」感を醸し出す、その横顔。
「でねでね、この赤い線が私の脱走ルートで、ここを通ってこの穴に入って……えーと、どっかに出る予定!」
「“予定”!?」
「それで、ここが非常食のクッキーポイントで、この辺がルアンたちとの再会スポットよ!」
「いつ決めたのそれ!?」
「うふふ、今!!」
一同: (……ぐだぐだすぎる……)
ルキエルがテーブルに突っ伏したまま、ボソッと呟く。
「計画って言うより……ただの夢日記じゃん……」
「でもまあ、今日はせっかくあんたたちに会えたし、おなかもいっぱいだし……」
リリアナは、胸を張って言い放つ。
「とりあえず、脱走は明日決行にしましょう!!」
「明日!?」
「そう!朝日と共に出発よ!さあみんな、気合入れて――」
「……うわぁ……」
「……ほんとにやる気なんだ……」
ルアンとミレアが引き気味で顔を見合わせる。
そして、そっとノインの方を見ると――
ノインは、またしてもすっと目を逸らした。
「……(完全に諦めてる)」
セレドに助けを求めるように目を向けると――
セレドは、もはや真正面の壁にガッツリ顔を向けたまま、無言。
「……壁とお話し中?」
ミレアの一言に、ルキエルが笑いを噛み殺すように肩を震わせた。
そんな中、リリアナは腕を組み、キラキラした目でノートを眺めながら誇らしげに言った。
「明日が楽しみね!これは大冒険になるわよ〜!」
……一同の疲労は、計画より先にピークを迎えていた。




