星が目覚める時
ーーそして現在。
「なぁ、おいおい。お前さ……それ、どういうつもり?」
ダリオがルアンの前に立ち塞がった。
その脂ぎった顔には、怒りと嘲笑が混ざっている。
「お前みたいなゴミが、セントラクト?
このオレと“同じ”だとでも思ってんのか?」
「ほんと笑えるよな〜」
「まじで神の目って節穴だよな」
「いや、むしろこいつ、哀れすぎて……?」
取り巻きたちの笑い声が広がる中、
ルアンは、ただ拳を握りしめた。
「おい!」
ダリオが後ろを振り返り、背後の黒い霧のエピルーク、ヴェイサを睨みつける。
「なあ!? エピルークってのは、オレみたいな選ばれた人間じゃねえとダメなんじゃねえの!?」
「ん〜、たしかにそう思いたいよねぇ?」
ヴェイサはだるそうに身体を揺らしながら、
ルキエルを一瞥して言った。
「でもまあ、あのエピルーク……無能なんじゃない?」
「なにいぃぃぃぃ!?」
ダリオの顔が真っ赤に染まり、怒声が通りに響く。
「……許さねぇ。
オレ様を見下すような目で見やがって……
お前も、あのエピルークも……ここで叩き潰す!!」
その瞬間、ヴェイサの身体から淡い風が立ち上る。
空気が震え、街路の石畳に不穏な風が巻き起こる。
ルアンはその圧に、思わず一歩だけ後ずさった。
けれどーー
隣に立つルキエルは、
ただ静かに、まっすぐルアンを見つめていた。
風が、うねった。
「Blast Whirl」
ヴェイサが軽く呟いた瞬間、ダリオが笑みを浮かべて手を振り下ろした。
その刹那ーー空気が爆ぜる。
「ぐっ……!」
ルアンの身体が宙を舞い、石畳を数メートルも転がった。
焼けつくような痛み。肌が裂け、肩が削れる。
視界が、歪んでいく。
「なーんだ。口ほどにもねぇな、セントラクトのくせに」
ダリオが嘲笑を浮かべながら歩いてくる。
その顔は、歪んだ満足感に満ちていた。
「お前みたいな雑魚が、“選ばれた”? 虫酸が走るんだよ。
さっさと負けを認めろよ。土下座すりゃ、見逃してやってもいいぜ?」
その瞬間、風が再び唸った。
「Sky Rend Fang」
ヴェイサの声と同時に、ダリオが指を突き出す。
風の刃が唸りを上げて地面を裂き、ルアンの脇腹を掠めた。
服が裂け、血が滲む。
「ルアンッ!!」
ルキエルの声が響いた。
だがーー
ルアンの膝は、震えていた。
怖い。痛い。負ける。
その言葉が、喉の奥で詰まりかけた、そのとき。
「ぼ、僕は……!」
絞り出すように叫んだ。
「……ま、負けーー」




