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創世のルキエル  作者: ウルハ
エルネア王国編~
49/57

『その血筋に、価値はあるのか?』

白亜の扉が静かに開かれると、ルアンとミレアは足を止めた。

そこに広がっていたのは、まるで別世界のような空間だった。


金の柱に囲まれた謁見の間。その奥に座すのは、エルディア国王――ゼグナート・エルディアと、冷ややかな微笑を湛えた妃――ヴェルメリア。

その左右には、第一王女のアシュリーと、第二王女のエルミナが立っていた。


リリアナの姿は、そこにはない。


ルアンとミレアの姿を見た瞬間――

ゼグナート王が、眉をひそめて言った。


「……子供……?」


その一言に、場の空気が揺れる。


次の瞬間――


「ネ、ネアル様……!?」


ルアンたちの後ろに立っているネアルを見つけた

ヴェルメリア妃が声を上げた。


「な、何か伝え忘れでも?……」


そんな空気をやわらげるように、ネアルが軽く笑った。


「おや、そんなに構えなくても。僕のことは気にせず、続けてくれたまえ」


ネアルの一言で、場の重みが少しだけ和らいだ。


ノインが一歩前に進み、頭を下げる。


「本日は、お時間をいただき感謝いたします。こちらは――」


ルアンが前へ出て、緊張した面持ちで一礼する。


「ルアンと申します。こちらはミレアです。……今日は、第三王女リリアナ姫にお会いしたくて、まいりました」


「姫の命を救った――恩人です」


ノインの補足に、王たちの表情がわずかに動いた。


 


そのときだった。


エルミナ第二王女がすっと口元に手を添え、目を細めて言った。


「へぇ……こんな子たちが、リリアナに?」


そのとき、第一王女アシュリーが腕を組んで小さく鼻で笑う。


「……ああ、あの箱入りの妹が言ってた“外の変な子たち”って……もしかして、君たちのことかしら」


「病弱な子は、時々幻想の中で英雄をつくるって言うわよね」


第二王女・エルミナが薄く笑う。


その視線が、ミレアの足元から頭のてっぺんまでをなめるように見上げる。


「ふぅん……服はボロボロ、髪もひどい……お世辞にも王宮に来る格好じゃないわね。

ま、あの子と同じく“野の花”ってことかしら?」


二人の姫は、どこまでも優雅に、どこまでも意地悪く、皮肉を交わし合いクスクスと笑う


その静かな笑いが、かえって空気を冷やした。


(……やっぱりこういう人たち、嫌いだわ)


ミレアは心の中でぼそりと呟いた。


妃・ヴェルメリアが、優雅に笑いながら口を開く。


「……ところで、貴方。出身はどちら?」


「……アナグナ、です」


その瞬間――ヴェルメリアの目が大きく見開かれた。


「まぁ……アナグナ?」


場が静まり返る。


「……では、ご家族は?」


「……グラズが、僕の育ての親です」


一言が落ちた瞬間、空気が変わった。


ゼグナートの眉がぴくりと動き、ヴェルメリアの表情も強張った。


アシュリーとエルミナがざわめく。


「グラズって、あの……?」


「ママをあんな目に遭わせたって噂の……?」


彼女たちの声は、正確な記憶ではなく、“誰かから聞いた不快な話”をなぞるようだった。


 


誰もが言葉を失いかけたとき――


ゼグナート王が静かに、しかし明確に言った。


「……いくらだ?」


「……え?」


「姫を助けた礼金が欲しいのだろう? アナグナ出身の君たちなら、それが目的でもおかしくない」


「……ち、違います……!僕たちは……姫に、会いに来ただけなんです!」


ルアンの声が震える。


だが――


「嘘をつくなッ!!」


王の声が響いた。


「お前たちは、アナグナの者。そして――お前は、グラズの“養子”。

あの男がエルディアを追われてから、飲んだくれの金虫食いとして生きていたこと、私は知っている。

ならば……その子供もまた、同じく価値のない“残滓”に過ぎん!」


「なっ……ひどすぎる……っ!」


ルアンが一歩引き、言葉を詰まらせる。


 


「……王、陛下」


ノインの声が低く響いた。


「それは、あまりに一方的ではありませんか。……彼らは、そんな子たちでは――」


「貴様、ノイン……!」


ゼグナートが睨む。


「まさか、貴様まで我に逆らう気か……?!」


その声に、ヴェルメリアが嗤った。


「うふふ……ノインも、兄やグラズのようになりたいのかしら? “正義”とやらで自滅したあの二人のように」


その言葉に、ノインは苛立ちで体をふるわせていた。



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