表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創世のルキエル  作者: ウルハ
エルネア王国編~
40/57

『救いの手は、誠実の名を持つ』



「……すまなかった。」


ノインが改めてルアンたちに向き直り、深く頭を下げる。


「……いえ。助けてくださって、ありがとうございます」


ルアンが頭を下げる。小さな声だったが、その言葉には確かな礼の気持ちがこもっていた。


「とりあえずもう一度市場でご飯買いなおそうか。お詫びに私に奢らさせてくれ」


———ノインに助けられたあと、市場の片隅で、

ルアンとミレアはようやく再び串焼きにありついていた。


ノインが代わりに買ってくれたものだ。手に持つだけで、まだほのかに温かい。


「……すごく美味しいっ……」


「うん……ちょっと泣きそうだったけど」


ミレアの呟きに、ルアンも小さく笑った。


ルキエルは背後の壁にもたれかかりながら、くすっと笑みを浮かべる。


「やれやれ。やっぱり、人間は“空腹”だと生きられないんだね」


「……ルキエル、君もひとくち食べてみたら?味は分かるんでしょ?」


「ボクは遠慮しておく」


言葉と裏腹に、じっと串を見つめているその目を、ルアンは見逃さなかったが――何も言わなかった。


食事を終えたあと、再び広場の外れに集まる。


「……ノイン様、本当にありがとうございました」


「いや、助けになれてよかった。……ところで、君たちはこれからどうするつもりだった?」


ノインの問いに、ルアンは少し躊躇ってから答える。


「……本当は、明日にはここを出ようと思ってたんです。あんまり長居できる場所じゃないって……それに、宿も難しそうだから」


「それで、今からでも出られそうなら、馬車を借りに行こうと思ってます。国境まで歩くのは……ちょっと、時間がかかりすぎるので」


「……なるほど」


ノインは頷き、セレドに視線を送る。


「馬車の手配、できる?」


「ええ、もちろん。……ですが」


「ですが?」


セレドが静かに言葉を継ぐ。


「エルディア国の東境界線――アデル橋が崩落しました。昨日の早朝、貨物車の事故によるものです。通行不可となり、修復にはおよそ一週間を要するとのことです」


「……っ」


ルアンとミレアが同時に顔を上げる。


「一週間……」


「そんなに……!」


ルアンが眉を寄せる。ミレアも、動揺を隠せない。


ノインは静かに二人を見つめ、それからゆっくりと言葉を紡いだ。


「なら――私の家に泊まっていくといい」


「え……?」


「姫も、君たちに会いたがっていた。……それに、これは私の責任でもある。あの手形を渡したのは、私なんだから」


ルアンが何かを言いかけたが、ノインはそれを制するように小さく笑った。


「遠慮はいらない。広い家なんだ。寝る場所にも困らないし……何より、私の目の届くところにいてくれる方が安心できる」


そして、まっすぐな目でルアンたちを見て言った。


「当面は私がそばにいる。……それだけは約束するよ」


ノインの声は柔らかく、それでいてどこまでも誠実だった。


「……ありがとうございます。お世話になります」


そうして3人はノインの家へと向かった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ