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創世のルキエル  作者: ウルハ
エルネア王国編~
36/57

『異邦の歩み、白き街にて』


門の向こう、エルディア王国。


足を踏み入れた瞬間から、空気が違っていた。


石畳は雪のように白く、街路は歪みひとつない直線で伸びている。整然と並ぶ建物、その扉や窓までもが、計算され、並べられていた。


けれど――その整いすぎた都市の中で、ルアンとミレアの存在は、あまりにも異物だった。


「……見られてる」


ミレアが前髪の奥から小さくつぶやく。ルアンも、それを否定できなかった。


すれ違う人々の視線が、あからさまに冷たい。興味ではなく、疑い。軽蔑。排除しようとする意志。


彼らの視線の先――それは、くたびれた外套に旅の埃をまとう少年と少女。そしてその背に浮かぶ、異形の存在――ルキエル。


「……外部者?」「なんで門を通されたの?」「あの格好……どう見ても下層民でしょ」


囁き声が広がっていく。


「え?ノイン様と……リリアナ姫の許可?」「リリアナ姫って、あの隔離された第三王女の?」「あんな病弱な方に、通行許可を出せるのか?」


「ていうかノイン様が? 彼、ああ見えて甘いからな……情けをかけたとか?」


「いや、もしかして……何か裏で小細工でも?」


「“推薦状”って形だけで、中身は偽物なんじゃ……?」


「外部者に手形?あり得ないでしょ。いくらなんでも」


道端のカフェ。品のいいドレスを着た女たちが、紅茶を飲みながら声を潜めて笑う。


「最近、王族周りもゆるんでるわよね。

あんな汚らしい子供たちを入れるなんて、

エルディアも地に落ちたものだわ」


「才能?どこに?あんな見すぼらしい子どもに?」


くすくすと笑い声が続く中――


ルアンはうつむいたまま、足を止めずに歩き続ける。


ミレアはぎゅっと拳を握っていたが、彼の横顔を見ると、何も言わずについていった。


「ふぅん、偏見と噂の洪水。清潔すぎる街には、汚れた心の吹き溜まりが多いらしい」


ルキエルが肩をすくめて笑う。


エルディア王国は、彼らに“存在する価値”を問うていた。


一歩ごとに、冷たい目が刺さる中で。


「……とりあえず、今日は泊まる場所を探そう」


ルアンがそう言って周囲を見回すと、整然とした街の一角に、いくつか“宿屋”の看板が掲げられているのが見えた。


白い外壁に、金属製の装飾。どれも立派で、まるで貴族でも迎え入れるかのような佇まい。


「よし、あそこに聞いてみよう」



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