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創世のルキエル  作者: ウルハ
小話
34/57

No.5



そんな気まずそうな雰囲気のなか、マルガが手を叩きながら立ち上がった。


「さぁさ! 辛気臭い話はおしまいだよ。皆でお風呂に入って、さっぱりしようじゃないか!」


ミレアは顔を赤らめ、慌てて手を振った。


「わ、私、こう見えて18歳なので、みんなとお、お風呂は……!」


マルガは笑いながらルアンに目を向けた。


「じゃあ、ルアンは私と一緒に入るかい?」


ルアンは驚いて、顔を真っ赤にした。


「ぼ、僕もこう見えて14歳なので、一人で入れますっ!」


マルガはどっはっはと豪快に笑いながら、彼らを見下ろすように言った。


「なんだいなんだい、アナグナの子たちは皆、年齢より見た目が若いんだねぇ! 羨ましいこった!」


腰に手を当てながら、マルガが続ける。


「私なんてさ、生まれはカリム。もう見ての通り、骨太でガタイばっかよ! カリムの女は皆こうさ。ガツンと育つ!」


ルアンが興味津々に尋ねる。


「カリム国って、どんなところなんですか?」


マルガはうんうんと頷いて、鍋の蓋を片付けながら答える。


「武力の国さ。あいつらはもう、脳筋の集まりみたいなもんよ。力こそすべて! 悩むより殴る! ま、私も似たようなもんだけどね!」


その豪快さに、ルアンとミレアはつい笑ってしまう。


その後皆は別々にお風呂に入り、その日の疲れを癒して言った。


お風呂上がり、マルガが用意してくれた寝巻きに着替えた二人は、それぞれの布団に身体を沈めた。


夜は静かに更けていく。


そして――翌朝。


陽光が差し込み、鳥のさえずりが聞こえる頃。


ルアンとミレアは荷物の整理をしていた。身支度を整え、食堂へと降りると、すでにマルガが待っていた。


「おっ、早いね。ちゃんと休めたかい?」


「はい、おかげさまで!」


マルガはにやりと笑って、カウンターの裏から何かを取り出した。


「でさ、あんたら……ひとつ言っておくけど」


「?」


「そのボロい服のままエルディア王国に入ろうってのは、ちと無理があるよ。ノイン坊やとリリアナ様の手形があっても、“見た目”で弾かれるのがエルディアって国さ」


「えっ……」


「だからこれ」


マルガは、綺麗に畳まれた衣類をふた組、テーブルの上にドンと置いた。


「特注の旅人用。少しは見栄えが良くなるから。お代は姫様から前払いってことでね」


ルアンとミレアは目を見開く。


「……ありがとうございます!」


「礼はいらないさ。あんたらがちゃんと歩き続けること、それが何よりの返礼ってもんよ」


ルキエルがひょいと後ろから覗き込む。


「……僕のは?」


「はん、あんたは要らないだろう。汚れないし、食わないし、寝ないし。神様なんだろ? うちのシーツに穴開けられちゃ困るのさ」


「……まあ、否定はしないけど……ふんっ」


拗ねたようにそっぽを向くルキエル。


そんなやりとりに、ミレアがふっと笑って言う。


「……行こっか、ルアン」


「うん」


マルガに手を振りながら、三人は再び森の道を歩き出す。


背には新しい服と、温かい宿の記憶。


そして心には、それぞれの小さな決意を灯して。


――こうして、ルアンたちは再びエルディアの門を目指して歩き出した。



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