No.3
廊下を大股で歩くその後ろを、ルアンとミレア、そしてルキエルが並んでついていく。
石造りの階段を上がった先、廊下の一番奥にある木製の扉の前で女将は立ち止まった。
ごつい手でガチャリとドアを開ける。
「ここだよ。窓は南向きで朝日が入るし、寝具もちゃんと干してある。……ああ、荷物を置いたら下の食堂においで。夜ご飯をあげるよ」
ルアンは目を見開きながら、思わず部屋を見回す。
「すごい……こんなちゃんとした部屋、初めてかも……」
「……わたしも」
ミレアも、そっとつぶやいた。
「……ふんっ。まあまあじゃない?」
ルキエルが壁に寄りかかってふてくされるように言ったが、その唇の端は、わずかに綻んでいた。
ルアンとミレアが顔を見合わせた。
「……ほんとに、泊まれるんだ……」
「うん……ふふっ」
女将はそんなふたりの様子に肩をすくめて言う。
「ここに来る旅人なんてのは、大半が辛気臭いのばっかりでね。夢も志も擦り減らして、目が死んだやつばっか。あんたたちみたいな若いのがいると、ちょっとは宿の空気も変わる」
振り返って、ニッと笑う。
「だから、旅の話でも聞かせておくれよ。……腹一杯食って、ぐっすり寝て、明日また、前に進めばいい」
ルアンは小さく頷いて、ミレアもその横でふっと微笑んだ。
「……なんか、あったかいね」
こうして三人は、ようやく手に入れた“屋根のある夜”を迎えることとなった――。




