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創世のルキエル  作者: ウルハ
小話
31/57

No.2


――その瞬間だった。


「……ちょっと黙ってな」


女将の低い声が響く。


「何笑ってんだ、お前たち」


笑っていた男たちが、ピタリと動きを止める。


「立派な夢があって、傷つきながら、それでも歩いてる若い子たちをバカにして。……そんなに偉いのかい、あんたら?」


女将は受付の前からぐるりとホールを見渡し、ずしりと響くような声で続けた。


広間が、一気に静まり返る。


女将は、ゆっくりと歩きながら視線を投げつけた。


「お前らだって最初は、何か夢があったんだろ? それを忘れちまったのかい」


カウンターの上をゴツン、と拳で叩きながら続ける。


「文句があるなら出ていきな。そうじゃないなら、黙って飯食ってな」


さっきまで笑っていた者たちが、スッと目を伏せた。


空気が、静まった。


女将はふぅと息をついて、ルアンたちに向き直る。


「……あんたたち、偉いよ。ちゃんと自分の足で、前に進んでる」


そして、腕を組みながらニヤリと笑った。


「で、金は持ってるんだろうね? いくら綺麗事を言っても、タダで泊めるほど人が良くはないんでね」


ルアンは慌ててお金が入った袋を取り出す。


「は、はい!ちゃんとあります!」


「よろしい」


「普段はね、一人一泊1500《日本円で1500円》ルーンもらってる。でも、エピルーク連れなら割引しなきゃね。二人合わせてご飯付きで500ルーンってとこだ。いいね?」


「えっ……! あ、ありがとうございます!」


ルアンが素直に驚きながら頭を下げる。


「ちなみに――」


女将がちらりとルキエルを見て、口元をニヤッとさせた。


「その白髪の子も、食事をするんならプラスで50ルーン。……どうする?」


すると、ルキエルは腕を組んで、ふんっと鼻を鳴らした。


「ボクは別に、食べなくても平気だから」


「ふふ、そうかい。じゃあ500ルーンちょうだいな」


ルアンは素直に袋から銀貨を取り出して手渡すと、女将はそれを受け取って頷いた。


「よし。きな、あんたらの部屋に案内するよ」


そう言って、女将はカウンターから出てくると、大股で廊下へと歩き出す。


「ついておいで。そんな華奢な身体じゃ、ちゃんと休まないと明日倒れるよ」


「は、はい……!」

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