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創世のルキエル  作者: ウルハ
小話
24/57

夕食のご馳走



「……そろそろ今日はこの辺で野宿にしようか」


夕暮れが森を茜色に染める中、ルアンはふと立ち止まって、荷物を降ろした。


木漏れ日がちらちらと差し込む草地。足元は柔らかく、焚き火の跡も作りやすい場所だった。


「ふあぁ……だいぶ歩いたね……ミレア、大丈夫?」


「慣れてるから、問題ないよ」


そう言いながら、ミレアは既に落ちていた枯れ枝や石を手早く集めていた。簡易かまどを組み上げ、数分も経たぬうちに火が灯る。


そして、彼女の背負っていた小さな布袋から取り出されたのは、山菜、香草、そして……うさぎ?


「えっ、それいつ……!?」


「……さっき…仕留めたの」


ミレアは照れくさそうに言いながら、うさぎを丁寧に下処理し、香草とともに火にかける。どこで覚えたのか、動作に無駄がなく、まるで小さな料理人のようだった。


やがて、こんがりと焼けた肉の香りが辺りを包む。


「……な、なにこれ、めちゃくちゃいい匂い……」


スープもできあがり、葉の皿に並べられた即席のご馳走。


ルアンが一口頬張った瞬間――


「……なにこれっ!? すっごく……おいしい!!」


目を丸くして、次の一口を急ぐルアン。その様子に、ミレアは少しだけ口元を緩めた。


「……そう。よかった」


その声は小さかったが、どこか嬉しそうだった。


そのとき、木の上からルキエルがぴょん、と降りてきた。


「ふーん、これが“人間の食べ物”ってやつか。へえ、美味しいじゃん……」


スープをすするルキエルだったが、視線はミレアとルアンのやりとりに向いたまま。


「……でも、あんまり調子に乗らないでよね。ルアンはボクのだから。誰にもあげないからね、ふんっ」


その顔は、どう見ても拗ねた子供。……いや、傲慢な王様か。


「あれ、それってもしかして……“嫉妬”?」


「してない! ……してないったらしてない! ただの……所有権の主張ってやつ! ボクはボクのものを守ってるだけだもん!」


あきらかに動揺しているルキエルを見て、ルアンは苦笑。


ミレアも、それを見て、ふっと笑ってしまった。


「な、なに笑ってんの!?」


「んふふ……なんか、弟が2人もできたみたいで」


「弟っ!? ボクが!? 失礼な!!」


ルアンは苦笑いしながら、後頭部をかいた。


「まいったな……僕、もう十四歳なのに……ミレアよりも年下に見られたかぁ……」


「…?…なに言ってるの? 私の方が年上よ?」


「えっ!? そうなの!? 一個上とか?」


ミレアは少し得意げに、ほんのり微笑む。


「十八。もう成人してるよ?」


「…………えっ、マジで!?」


ルアンが素で驚いて目を丸くする。


「絶対、僕より年下かと思ってた……」


「ふふ、見た目は小さいからね」


そんな二人の会話を隣でルキエルがひとりモソモソと食べながら、ふんっと顔をそらしていた。


(僕は君たちよりうんっ億年年上だけどね)

そんなことを思いながら—————


そんな他愛ない会話が、夕暮れの森に響く。


空はやがて群青に染まり、焚き火が三人の影を揺らす。


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