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創世のルキエル  作者: ウルハ
第2章~毒と嫉妬。ロギとミレア編~
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『毒の叫び、星の返事』


毒と星の衝突が、一瞬、森の空気を張りつめさせた。


ルアンの拳が霧を切り裂いた直後、ミレアの声が森中に響き渡った。


「私の……何がわかるっていうのよッ!!」


彼女の叫びと共に、黒紫のオーラが一層激しく燃え上がる。怒りと嫉妬が入り混じったその波動は、ロギの体を伝って鋭く尖っていく。


「君なんかに……!君なんかに、私の気持ちがわかるもんかッ!!」


ミレアの手から再び毒の触手が放たれ、地を這うようにルアンへ伸びてくる。


だがルアンは、それを避けることも防ぐこともせず、ただ真正面から叫び返した。


「分かるよ!! ……全部じゃないけど、でも……わかるよ、ミレア!!」


ルアンの声が震えていた。


「君がどれだけ苦しくて、どれだけ寂しくて、どれだけ……誰かに気づいてほしかったか! 僕、知ってたよ……ずっと、気づいてた!」


毒のオーラが一瞬揺らぐ。


「でも、僕は……怖かったんだ! 僕自身のことで精一杯で……!

だから、見て見ぬふりをした。知ってたのに……君がそこにいるって……ちゃんと知ってたのに……っ!」


拳がぎゅっと握られる。


「僕は、弱いんだ……!優しくなんてない。君のことを、見て見ぬふりをしてきた僕が、君に“寄り添う”なんて、おこがましいのかもしれない……」


それでも、ルアンは一歩前に出る。


「でも今は、逃げたくないんだ。君の叫びからも、過去の自分からも……!」


オーラの風圧が吹き荒れる中で、ルアンの目は、真っすぐミレアを見ていた。


「僕は君を“哀れんで”るんじゃない。ただ……今、君の隣に立ちたいって思っただけなんだ……!」


ミレアの攻撃は止まっていない。だが、その瞳に宿った光が、わずかに揺れる。


「……っ、うるさいっ……!」


彼女の声は震えていた。怒りに、嫉妬に、言葉にならない感情が混ざり合っていた。


「ミレアはずっと独りだったんだ!」


ロギの叫びが響く。小さな体がミレアにしがみつきながら、ルアンに怒りをぶつける。


「お前のせいで、またミレアがひとりになっちゃうよ!! そんなのオイラ、絶対イヤだよッ!!」


「……ロギ……」


ミレアの視線が、少しだけ伏せられる。


そのとき、ルキエルがすっと前に出て、静かに言った。


「ルアン、決めるのは君だよ。感情をぶつけ合うだけが戦いじゃない。君の“願い”が、彼女に届くなら……」


ルアンはうなずいた。拳に再び、淡い光が宿る。


「だったら……僕が友達になる。君を、独りになんかさせない」


波紋のように広がる星の光が、黒紫の霧を切り裂き、森の空気をほんの少しだけ澄ませていく。


ミレアの身体がよろけ、ひざをついた。

毒の瘴気も弱まり、ロギが心配そうにその肩に寄り添う。


「ミレア……もう、がんばりすぎだよ。オイラ、オイラ…!」


その声に、ミレアの瞳がわずかに揺れる。


「……うるさいな、ロギ……。でも……ロギを失う訳には…」


ぽろり、と落ちたのは血ではなく、一粒の涙だった。


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