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創世のルキエル  作者: ウルハ
第2章~毒と嫉妬。ロギとミレア編~
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『届かない声、叫ぶ心』


嫉妬のオーラが、霧と朝露の森を歪ませる。


ミレアの手が、震えるほどの怒りに満ちていた。

その手を、ロギのオーラが絡め取るように包み込む。


「ロギ……ッ!」


「やっちゃおう!オイラたちの“もやもや”、ぜんぶぶつけちゃえ!!」

ロギがぽよんと跳ねながら、ミレアの背に吸い込まれるように重なる。


黒紫のエネルギーが彼女の全身を這い、嫉妬の感情が毒のように実体化していく。


「……ずっと見てたんだよ、君のことなんか……毎日、ずっとっ!!」


叫びと共に、ミレアの足元から無数の蔦のようなオーラが吹き出した。

それは彼女の技ーー


「《Venom Graspヴェノム・グラスプ》!!」


捻じれたオーラの触手が空間ごと引き裂きながら、ルアンに襲いかかる!


「うわっ……!」


ルアンは寸前で後ろに跳ねてかわすが、裾を一筋掠められた。

ジリ、と焦げるような痛みが走る。


ルアンは切ない顔でミレアを見る…


「なんでそんな目で見るの……!かわいそうって思った顔……やめてよ!!

……見てほしかっただけ……ただ、誰かに見てほしかっただけなのに……!」


「ミレア……!」


ルアンの目が揺れる。

その瞳に浮かぶのは怒りではなく、明らかな戸惑いと、悲しみだった。


拳を握る。だが、それを振り上げられない。

目の前の少女の叫びが、あまりにも本音で、

あまりにも痛々しかったからだ。


その一瞬の迷い――


「油断したね☆」


ロギの声と共に、ミレアの嫉妬の触手がルアンの足元に伸び、地を砕いた!


「っく……!」


衝撃で体勢を崩すルアン。

倒れこみながらも、すんでのところで拳に星の光を灯す!


《Radiant Palmラディアントカーム


星の閃光が、地面を照らす!

一閃。ミレアの攻撃を弾き飛ばすように、ルアンの拳が地を叩いた。


吹き飛ぶオーラ。ぶつかり合う感情。

それでもミレアは、立ち上がる。


「……まだ、終わってない……!」


再び彼女の身体に黒紫の気配が巻きつく。今度は体から霧のように染み出し、辺りに充満し始める。


「《Toxic Veilトキシック・ヴェイル》……!」


視界が濁る。森の空気が、じわじわと“毒されて”いく。


「君にだけは、絶対に負けたくないッ!!いじめられてても、蔑まれててもっ存在があった!!!」



ルアンは、真正面からその痛みと感情を受け止めようと立ち上がる。


「理不尽すぎるよ…」

(でも……)


「……なら、僕も……受け止めるよ」


拳に、再び淡い星の光が宿る。


「君の気持ち、ちゃんと……向き合うから……!」


感情と感情のぶつかり合いは、まだ終わらない――。


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