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創世のルキエル  作者: ウルハ
第2章~毒と嫉妬。ロギとミレア編~
18/57

『孤独に手を伸ばした日』


(……そんな……!)


冷たい街の医者の声が耳に残っている。


小さなミレアは、金もない手で、必死に訴えた。震える声で。

でも誰も、振り返らなかった。


家に戻ったときには、もう間に合わなかった。

おばあちゃんは、その夜、静かに息を引き取った。


大好きだった人は、二度と目を開けなかった。


お葬式なんてできない。だから、埋めた。ひとりで。森の小さな丘の根元に。


(おばあちゃんっ………。)


声が出なかった。

涙だけが止まらなかった。


誰も見ていない森の中で、少女はずっと泣き続けていた。


そんなときだった。


「……やぁ」


背後から、不思議な声がした。


振り向くと、そこには紫色の、小さく丸っこい異形の存在がいた。


「君、泣いてるの? なんでそんな顔してるの? ……あっ、もしかして、ひとりぼっち?」


ミレアは、息を飲む。目の前の存在が、何者かもわからないままに。


「……誰?」


「えへへ、オイラ? オイラはロギ! ……えっと……そ、その、オイラ、すごい力があるんだよ! 君の……願いを、叶えてあげられるかもしれないの!」


「……願い?」


「う、うんっ。たとえば……ずっとひとりぼっちじゃなくなるとか!」


ミレアは、ほんの少しだけ、顔を上げる。


「……ひとりじゃ……なくなるの?」


ロギは、胸を張って(?)にこりと笑った。


「うん! オイラが、ずっと一緒にいるよ!」


その言葉に、ミレアの心の中で、何かが音を立てて崩れ落ちる。


(……一人ぼっちにならないなら……)


その“願い”は、静かに形になり――契約が結ばれた。





——現実へ。


風が渦巻く。嫉妬のオーラが、ミレアとロギの周囲を支配していた。


ミレアの瞳が、ルアンを射抜くように睨む。


「……ずるい……! 私から、何もかも奪おうとしてくるなんて!!」


その叫びは、嫉妬と孤独に満ちた、深い絶望の声だった。


ロギがミレアの肩にぴょこんと乗って、ふにゃっとした笑顔を浮かべる。


「ねぇミレア……ちゃんと、オイラが守ってあげるからね! でもね……あの子、ちょっとだけ強そうなの。油断しちゃダメだよ!」


ミレアは、ぎり、と奥歯を噛んだ。


「……わかってる。ロギ、いくよ……!」


そして――


星と嫉妬の光が交差する戦いが、いま、始まる。

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