ケチ男(65)
街がえらく騒がしい。
知らん。
俺はケチ。
ケチケチケチ。
「ラッキー」
今日はよく小銭を拾う。これで200円。コーヒーでも飲もう。
150円のコンビニコーヒー。
コーヒー屋で200円のコーヒーを飲みたかったがグッと堪えた。
でもこれで50円の儲けだ。
「〜♪」
しれーっとSサイズの料金でLサイズの量を淹れてやったぜ。
運良く店員はいない。
バレる前にトンズラこくべさ。
ジャンパーのポケットに無料のミルクと砂糖とおしぼりを出来るだけ詰めてコンビニを出た。
「とっつぁん。ポッケからおしぼりが飛び出てるよ。あんたもケチだねぇ!」
「お前にだきゃ言われたくねぇよ」
軽トラに銅線やらパイプ。エアコンの室外機を乗せているバカ。
どっから盗んできたのかね?ブルーシートを被せても視えてるよ。
「ずーっとケチだね俺達は」
「そうだ。物心付いた時からケチ。最期までケチ。俺達はケチを貫いた」
「良いように言うね。そろそろ俺は行くよ」
「おう」
隕石が地球に直撃するまであと数時間。
どこのWi-Fiも繋がらないし、古本屋で立ち読みして菓子パンでも買って食おう。
あっ。ヤバいな。今月の家賃払ってねぇ。これで半年滞納かぁ。




