深夜3時の扉が開く
※この物語は、作者が実際に体験したことを基に脚色して作られたものです。
ですので、不思議なものは不思議なまま、少し消化不良を起こして終わることが、よりリアルになるのかな……? なんて思ったりしています。
あれ……?そうでもない?
それは私も家族も寝静まった音のしない夜のこと。
この時間はマンションの他の部屋の住人も眠りについており、独特の静けさが広がっていた。夜型の私は、日付けが変わって少しした頃に布団に入ることにした。
布団に入ってから数時間は、何か夢を見ていた気がする。しかし、どんな夢を見たのかは思い出せない。
『………っ!?』
夢の内容を思い出そうとしていたその時、突然身体に電気が走り、目が覚めかけた。何故目覚めかけたなのか? それは、目が開かなかったからだ。
その直後、私の脳内に不気味な映像が浮かんできた。
キィィィ……
ドンドンドン!
耳に深く響くような大きな音が鳴る。そして、開いていないはずの瞼の裏に、自宅に数ある扉のうちの一つが何者かによって開けられる映像が見えた。
扉から覗く白いワンピースのような布。裸足の細い足。
『(なになになに!?気持ち悪い……)』
ーー映像が消えた。
次いで、激しく震える身体と、開かなかった瞼が上がった。視界は黒く、寝室として使用している和室も眠る前と変わった様子もない。襖もたくさんあるが、どれも全て閉まっていた。
時計は深夜3時を指していた。
小心者の私には、襖を開けてまで扉を確認しに行く勇気はなかった。ただ、寝室の隣に気持ち悪い気配だけは感じられた。恐らく、今見た映像の扉があるのは、この寝室の真横……。
トントン。
カタガタカタッ!
ーーキィィィ……。
一瞬の静寂の後、その気配が強まった。
ドンドンドン、ドンドンドン!
家が地震のように揺れ、雷が落ちたかのような大きな音が響いた。おかしい。普段なら、少しの物音でも起きてくる両親がこんなに揺れていて、危険な音がしているのに起きてこない。
『(何が起こっている? わからない……。こわい……。)』
誰も起きてこない。
それに、この気配。
やはり、何かがおかしい。
でも、不思議と直接私に何かをしてくることはないだろうことは感じ取れた。ひどく不気味で嫌な気配であることに変わりはないけれど……。
その後、不快感が消えるまで心の中で南無阿弥陀仏と唱え続けていた私は、いつの間にか眠れていたようだった。
気づいた朝は、いつもと変わらぬ朝だった。
両親にもこの出来事を話したが、やはり全く気付いていなかったようだ。あれは一体何だったのか……。
その正体は謎に包まれたまま、消えていった。
この作品をお読み頂きありがとうございます!
2作品目のホラー短編となります。
少しはヒヤッとして頂けましたでしょうか?
素人作品ではありますが、今後より読みやすいものを生み出せるように頑張っていきたいと思っています。
それでは、次回作でお会いできることを願って……。