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最強の殺し屋だった私が聖女に転生したので世界平和のために悪を粛清することにしました  作者: 結月 香
第八章 竜人族

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終:竜王国の建国

 そして数日後、竜人族の族長が自らファブリカティオ帝国を訪ねてきた。

 結論から言うと、竜人族による国家を作ることを決意したそうだ。


 同時に、帝国の傘下に下ることも了承してくれた。


 竜人族から提示された条件は五つ。

 一、魔術師を一名以上常駐させること。

 二、定期的に北の僻地全体を警備隊が巡回するなどして治安維持に努めること。

 三、竜人族にも人権を保障し尊重すること。

 四、他国に攻め込まれるようなことがあった場合、帝国は竜人族の国を守るために尽力すること。

 五、竜の乱獲禁止と保護を法律として制定すること。


 それはどれもクロヴィスの想定していた域を出ない条件であり、皇帝陛下も即時承諾したため、その場で調印となった。


「国の名前はどうするんだ?」


 クロヴィスの問いに、族長は笑顔で答えてくれた。


「竜王国ドラコレグナムでどう?」

「良いじゃないか」


 皇帝陛下が認めたため、北の僻地に竜王国ドラコレグナムが建国されたという報せは、あっという間に大陸に知れ渡った。


 これにより私とクロヴィスの、帝国に所属する国の王達からの評価が急上昇した。

 勿論、北に棲む魔物の討伐問題はあるが、竜人族を帝国配下に下したことが大きい。

 

 ただ、それはあくまでも帝国内での話だ。


 この大陸に、帝国に属していない国は現在六か国。

 北の僻地のようにどこの国にも属していない区画も存在するが、それは除外して考えたとして、その六か国のうち、交易などを通して友好的なのは二か国のみ。

 残り四か国は、表立って戦争はしていないが、常に相手の出方を伺っている冷戦状態である。


 そんな敵国とも言える国々からしてみれば、ただでさえ大きな帝国が更に力をつけたとあって、内心穏やかではないだろう。


 元々、最たる敵対国であったのはリベラグロ王国だったが、先のエルヴィラの暴走がきっかけで帝国の配下に下り、他国には緊張が走っていたであろうところに、今度は竜王国の建国と支配の知らせが舞い込み、いよいよ焦り始めているはずだ。


 そこまでは私も考えていた。

 この時の私はまだ、その影響について、警戒さえしていれば大丈夫だろうと、甘く考えていた。


 そう、私はまだ、この世界の事を何もわかっていなかったのだ。


 帝国の外には、まだ自分の知らない文化圏で、様々な問題が起きているということ。

 世の中には、自分の想像を絶するほど、悪い人間がいるということ。

 人間の抱く欲望と悪意には、底が無いということ。


 この後の私は、それを嫌と言うほど思い知ることになる。

 でも、この時の私は、そんなこと知る由もなく、ただただ、クロヴィスと並んで歩む未来のことしか見えていなかった。

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