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最強の殺し屋だった私が聖女に転生したので世界平和のために悪を粛清することにしました  作者: 結月 香
第十七章 禁断の魔術書

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零:新婚旅行の終わりと新たな不穏

この章は、別小説としてアップしている『かつて魔王を倒した勇者が魔術師に転生したので世界平和のために尽力することにしました』のアリス視点となります。

両方読まれるとより背景がわかりやすくなります。

 長かった新婚旅行が終わりを告げ、大神殿に戻ってからひと月が経った。

 基本的には大神殿を拠点として聖女としての仕事をして、定期的に城へ通う生活が続いている。


 と、朝の浄化の仕事が終わったところで、通信の魔具が鳴った。クロヴィスからの連絡だ。


「クロヴィス、どうしたの?」


 応じると、クロヴィスの声が聞こえてくる。


『ある意味、大事件だ』

「大事件?」


 不穏な単語に対して、クロヴィスの口調が妙に明るい。

 そのちぐはぐさに首を傾げる。


『フェリクスの婚約が決まった』

「えっ!」


 思わず声が漏れる。


 フェリクスはクロヴィスの実弟で、第二皇子だ。

 つい先日まで、帝国配下のダイサージャー王国に留学していて、新婚旅行でも王都デュトロに立ち寄った際に顔を合わせたが、そんな話は聞いていなかった。


 私とクロヴィスが帰国した直後に留学を終えたとは聞いていたが、まさか婚約も決まったとは驚きだ。


『相手は、ダイサージャーのルシーラ第一王女だ』


 なるほど、留学中に出会って仲を深めたのか。

 それはそれで納得だ。


「それはおめでとう。次に会った時にお祝いしなきゃね」

『ああ。それで、近いうちに婚約を発表するための夜会を開くことになった』

「夜会……」


 思わず呟く。


「……それって、私も出席しないとダメ?」


 社交界は苦手だ。煌びやかな空間で貴族の相手をするなんて、想像するだけでげんなりする。


『ああ……無理にとは言わないが……婚約発表の場にアリスがいないと、聖女である皇太子妃が二人の婚約を認めていない、と周囲に受け取られかねないから、可能であれば出てもらえると助かるんだが……』


 クロヴィスと婚約する時に、基本的に面倒な社交はしなくていいと言われていた。

 それを踏まえた上で、クロヴィスも言葉を選んでいるのがわかる。


 今回の夜会は目的が社交ではないのだと悟る。


「あー……」


 フェリクスの婚約を祝福していないと思われるのんて、流石にそれは本意ではない。

 義弟の婚約は素直に喜ばしいし、お祝いしたい気持ちは当然ある。


「わかったわ……ちゃんと参加する。でも、貴族の相手はしない。最低限お祝いの場に出たら退散するわよ」

『充分だ。ありがとう』


 クロヴィスはほっとした様子で頷き、「ドレスは俺が用意するから」と妙に弾んだ声で言って通信を切った。


 私は皇太子妃である前に聖女なので、変に派手なドレスを着る訳にはいかない。

 というか、聖女の正装でもいい気はするんだけど。国庫から予算を出してドレスを購入するのも申し訳ないし。


 しかし結婚後初の夜会でもあるし、その辺の判断はクロヴィスに任せるとしよう。


 私は小さく嘆息して、とりあえず目の前の仕事を片付けることにするのだった。

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