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最強の殺し屋だった私が聖女に転生したので世界平和のために悪を粛清することにしました  作者: 結月 香
第十六章 イアスピスの風習

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零:新婚旅行再開

 奴隷解放の手続きが終わって、私とクロヴィスはセルボの町へ戻り、そこから当初の予定を順当にこなして旅路を進んでいった。


 神殿から私に回されてくる依頼のほとんどはちょっとした穢れの浄化や魔物討伐で、私とクロヴィスにかかればすぐに片付いてしまうものばかりだった。


 そんなこんなでベルリグナム王国のセルボからアビエテアグロ公国を経由してリベラグロ王国に入り、ルノー山脈沿いに東へ進んで、ダイサージャー王国に入ったところで、ジャンから通信を受けた。


『聖女様、少々きな臭い情報を得たためご報告です』

「どうしたの?」

『イアスピスの内政に混乱が生じているとのことです。帝国配下の新参国の様子を見るという任を受けたラウルから、皇帝陛下にそう報告があったようです』

「そう……」


 イアスピス王国。先の三国同盟軍の一国として、ファブリカティオ帝国に喧嘩を売ってきた上、女王ノーラがクロヴィスに操作魔術を行使して皇太子妃になろうと目論んだ。

 しかしそれはあえなく失敗。ノーラは捕らえられ、別の者が王となった。新国王は帝国との戦争を回避するため、敗北を認め自ら配下に下ることを宣言した。

 あれかれもう七ヶ月が経っている。


 流石にイアスピス国内も落ち着いたと思ったが、新国王に対する不満が高まってきているのだろうか。


『聖女様も、この後イアスピスにも赴かれると思いますので、くれぐれもご用心ください。どうやら、中には帝国の配下に入ったことを良く思わない連中がいるようです』

「わかったわ」


 ジャンからの通信が切れる。

 隣で聞いていたクロヴィスも、渋い顔で唸った。


「イアスピスか……」


 順当に行けば、ここから十日ほどかけてロレンマグナ王国を横切ってトリブス王国へ入り、そこから更に二日ほどで北東へ進み、イアスピス王国へ向かうつもりだった。

 

「……何だか、胸騒ぎがしてきたわ……」


 思わず胸元を押さえる。


 イアスピスの現国王は、前女王ノーラの兄だったはずだ。


 イアスピスの国王選出は特殊だと聞いた。

 これまで友好国ではなかったことからクロヴィスも詳細は知らないらしいが、何やら王位継承権を持っている者が試験だか試練だかを受けて認められれば国王になれるらしい。

 そのため、王位継承権の順位はないそうだ。


 ただ、ノーラが女王になれたことを考えると、人柄や人望のようなものは評価されないのだろうと思えた。


「……すぐに向かう?」

「いや、まずはロレンマグナとトリブスで情報を集めよう。元からの友好国である隣国なら、何かわかるかもしれない……でも、なるべく急いだ方が良いだろうから、ダイサージャーのデュトロに着いたら馬を預けて飛翔魔術でロレンマグナへ向かう」


 クロヴィスの言葉に、私も納得して頷く。


 まずはダイサージャー王国の王都デュトロを目指す。

 何度か訪れたことがあるが、白い壁と赤い屋根の家々が円形に建ち並び、その中心に、白亜の城が聳えている美しい街だ。


 クロヴィスの異母弟である第二皇子フェリクスが、現在留学している先でもある。

 そういえば、前に会った時、是非遊びに来てと言われていたっけ。


 フェリクスならイアスピスの情報を何か掴んでいるかもしれない。

 顔を見るついでに聞いてみてもいいだろう。


 私は、馬を走らせながら、地平線の先にあるはずのデュトロを見据えるのだった。

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