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最強の殺し屋だった私が聖女に転生したので世界平和のために悪を粛清することにしました  作者: 結月 香
第十四章 新婚旅行

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零:始まった新婚旅行

 慌ただしい結婚式が終わった翌日、私はクロヴィスと新婚旅行という名目の浄化の旅に出た。


 新婚旅行に第三者が同行するのをクロヴィスが断固拒否したため、護衛や付き人はなしで、お供は私の眷属であるガリューのみである。

 仮にも皇太子の新婚旅行だというのに、護衛もなしで良いのかと尋ねると、「俺とアリス以上に強い騎士や魔術師ががいない以上、誰を連れていても意味はない」と一蹴されてしまった。


 実際はそれだけでなく、護衛を引き連れていくとなるとそれは公務としての扱いになり、行く先々で歓待を受ける羽目になってしまう、ということも理由の一つだ。それは私も本意ではない。

 それに、私とクロヴィスだけであれば馬で移動できるので、護衛を連れて馬車で行くよりも移動に掛ける時間が短くて済む。飛翔魔術でも良いが、折角の旅路なので魔力を無駄に消費せずに移動しようという話になったのだ。


 そうして私とクロヴィス、ガリューの二人と一匹が最初に向かったのは、帝都の真西にあるベルリグナム王国だった。

 アビエテアグロ公国の北に隣接し、帝国配下の国の中でも比較的国土面積が大きく、自然溢れる国である。

 ちなみに、現在大神官であるリュカと私専属の侍女となったメルはベルリグナム出身だ。他にもジルベルトやクラリスも祖父がこの国の出身であったりと、何かと神殿関係者にゆかりのある国でもある。


 そして目的地は、最北端にある漁港町セルボだ。

 海産物が有名で、新鮮な魚介料理が食べられる、帝国内でも数少ない名所である。

 帝都からは馬を飛ばせば丸一日で着くが、そこまで急ぐ旅路ではないので、速度は落として進み、途中の小さな村で一泊することになった。


 身分を明かすと色々と面倒なのでただの旅人を装うことにし、質素な身なりで、クロヴィスも皇室の紋章入りの剣の柄には布を巻いて隠している。


 部屋は当然の如く一つ。

 既に結婚式の夜に寝室を共にしているが、正直まだまだ羞恥心が勝るので、出発前にクロヴィスに私が認めない限りはことに及ばないようにと直訴した。

 

 クロヴィスは不満そうにしつつも、思うところはあったようで渋々承諾。


 したはずだったにも関わらず、二つあったはずのベッドで別々に寝入ったはずが、クロヴィスはいつの間にか私のベッドに入ってきたらしく、目覚めたら目の前に彼の顔があった。


 暗殺者が気配を殺して忍び込んできても絶対に気が付く私のベッドに潜り込むとは驚きだ。

 遮蔽魔術でも使ったのか。


 クロヴィス程の魔術師が遮蔽魔術を行使したら、私であっても気配を感じ取るのは余程集中していないと難しいだろう。しかも、当たり前だがクロヴィスは私に対して敵意も殺意もない。

 暗殺者であれば、どれだけ熟練であっても、私に対する害意が隠しきれず、僅かに漏れ出てくるから気付けるのだが、クロヴィスはそれがない。


 複雑な気分でクロヴィスの寝顔を見る。


 寝顔まで美しいというのが、妙に癪に障る。

 私は異性の好みでいうところの美形にはあまり興味がないが、美醜の感覚は持ち合わせているので、クロヴィスが稀に見る美青年ということはわかっているのだ。


「……人の顔をじろじろみてどうした?」


 眠っていると思っていたクロヴィスが、突如ぱっと目を開けた。

 私の不満顔に一瞬怪訝そうにしたものの、すぐに幸せそうに破顔する。


「おはよう、アリス」

「……おはよう、クロヴィス」


 言い終える直前に軽く唇を塞がれる。


 甘い朝を迎えた私は、恥ずかしくなってベッドから飛び起きたのだった。

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