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初めて書いてみました。
色々と拙い文章になっているとは思いますが、読んでくださると幸いです。
書き方についてアドバイスがあればよろしくお願い致します。
ただお話しの内容について、ネガティブな感想についてはしっかりと萎えるので、ご遠慮願いたいです。
何卒宜しくお願い致します。
――――――――――「プロローグ」――――――――――
とある森の中にポツンと、人が1人入るぐらいの大きさのカプセルのような形をした箱、
正確に言うとポッドが木漏れ日のなかにひっそりとたたずんていた。
いつからそこにあったのかわからないそのポットの周りには、
草やツタが絡まっていたが、不思議なことに蓋と蓋の周辺部分だけにはツタなどはなく、少しだけ苔が付いているだけであった。
シュイ―――ン…………。
そのポットが突如として淡い青白い光が動き始め、蓋が徐々に開かれていった。
開ききったポットの中から、人のような何かがゆっくりと上体起こした。
-----Wake Up N縲縺薙l縺九i縺ォ蟷ク縺ゅl------
人で言う顔の部分に一瞬文字が映ったがすぐに消えて、うっすらと白色の光がともった。
上体を起こした体勢で周囲を見渡した後、そのまま動かなくなった。
--1時間後--
ゆっくりと顔をあげポットの中から乗り出し、地面に足を付けた。
地に着けた足は人の足に酷似している。
違うとしたら機械的な質感で、皮膚の部分が肌色ではなく銀色になっていることである。
スッと立ち上がった姿はすらっとしており、体の構造は人と同じに見える。
身長は190ほどあり、全体的に細い体つきではあるが簡単には壊れない、安易に説明するとロボットというものに見える。
そのロボットは立ち上がった後再度周囲を確認した後に、
左を眺めた後に右に向いてそのまままっすぐに歩いて行った。。。。
歩き始めてから来る日も来る日も足を止めずにそのロボットはひたすら歩き続けた、
きれいな森、暗い洞窟を抜け、険しい山々、深い谷を越え、暑い日差しが照り付ける砂漠に差し掛かろうとしたときには、きれいだった外装はところどころ壊れロボットの内部が一部見えていた。
その恰好のまま砂漠に入っていったが、1日も経たないうちに体中が砂まみれになり、2日目には破損したところから内部に砂が徐々に入ってしまい、体が思うように動かなくなってきてしまった。
砂に足を取られながらも、ただひたすらに前進していたが、3日目の明るさがピークに差し掛かるときに砂嵐に巻き込まれてしまい、完全に体が動かなくなってしまった。
砂嵐が過ぎた後にはすでに下半身は砂に埋もれてしまい、砂漠に投棄された廃棄物のようになってしまっていた。
2度目の砂嵐が眼前に迫ってきたときにロボットの後頭部から何かが射出された。
射出された何かは空に向かって飛び、ロボットから約500m上空で強い赤い光を放ちながら、徐々に地上に落ちていった。
ロボットは射出したところからアンテナが伸びアンテナの先端が赤い点滅を始めた。
その後、砂嵐に当たる前に顔にともっていた白い光は消えてしまった。
--------1章 出会い------------
ざくっ......ざくっ......
こんな砂嵐の中、わざわざ砂漠に行くってのもねぇ。。。
ため息をつきつつ、自嘲気味に笑っているその人物は、背丈が180ほどあり、バケツをひっくり返したような形のヘルメットを着け、首から膝まで隠れるスカーフのような布を巻いており、砂嵐の中でも砂が服の中に入らないような装備で歩いていた。
なんでこんな砂嵐の中で歩いているのかというのも、砂嵐になる前に今まで見たことないシグナルを確認したとか言って、ウィッシュマン博士が興奮して頼んできたからだ。
そんなことがなければ、今日も部屋で惰眠をむさぼっているところだったのに、、
まぁ毎日やることないから、これはこれで別にいいんだけどさぁ
・・・・・砂嵐の後でもいいじゃん、、、!
そんなことをぶつぶつとぼやいているうちに、目的の座標にたどり着いていた。
座標にはそれらしいものは見当たらなかったが、右腕を見ると装備した探知機が足元に何かあることを指示していた。
間違ってなかったことに安堵しつつ、腰にぶら下げている機械を取り出し、座標のところの砂に向けてスイッチを押した。
砂は勢いよく飛んでいき、順調に掘り下げていった。
20cmほど掘り下がると金属っぽい色のものが見え、確かめるとアンテナのようなものだった。
「今回は何が出んのかなぁ~」
目的のものがあったことに安心しつつも、前回は意味わかんないガラクタだったことをを思い出しながら、2時間ほど掘り下げてようやくロボットを掘り出すことができた。
ある程度砂をはらって、ロボットの外見だけをパッと見るとなかなかにひどい有様だった。
胸にある装甲は半分破損しており胸の内部が見え、腕の関節部分に関しては線1本だけでギリギリ繋がっている状態であった。
ほかにも損傷が激しくみられ、これを直せるかどうか非常に不安になった。
とはいえせっかく掘り出したのに、あきらめるのも癪なんでとりあえず持ち帰ることには変わりないが、、、、
そう思い、担いできた荷運び用の板をロボットの下に敷き、全体を布で覆い板とロボットを縄で固定した。
板に引っ張る用の紐が付属していたので、それを持って引きずるようにして帰路についた。
「・・ふぅ、ようやくだぁ」
砂漠の目の前に位置する見慣れた街を見るとほっとする。
約10時間以上ものあいだ、目に映るのは担いだロボットと砂のみだからなおさらだ。
お飾りの門番に挨拶して、街の中に入ると相変わらずの熱気が服を通しても伝わってきた。
「らっしゃい!らっしゃい! 暇人にもってこいの新しいシャブだよ!」
「飯ならうちにしときな!!最高にハイになれるぜぇ!!」
スラム街と一言で済ませられるならどんなに楽か、、、
ここに住んでいるほとんどが世紀末的な空気に酔いたい奴らだ。
だから建物や道路が一切理路整然とはほど遠い街になっている。
現に大通りであるこの道でシャブやらよくわからないものまで売っているし、建物を見ると別々の建物が積みあがっているような一貫性のないものが乱立している。
そんな中このゴチャついた街には珍しく同じような形で5階分積みあがっている建物が建っており、目的の場所だ。
「やっと着いたぁ。」
そうぼやきながら1階の入り口から中に入った。
部屋の中は暗く人の気配はしなかったが、部屋の奥の方の扉に小さい窓が付いており、そこからうっすらと明かりが漏れていることに気づき、部屋の奥までロボットを運ぶことにした。
運ぶ途中に何度も床に積み上げられている機械の部品と思われるものにぶつかってしまい、ガラガラと音を立てて崩れたことはわかったが、適当においている方が悪いと自分に言い聞かせて無視して扉の近くまでロボットを運ぶことにした。
......カッ――ン......カッ――ン
扉に近づくと何か金属製のものをたたいているような音がうっすらと聞こえてきた。
ノックをしてみたが聞こえないようなので、扉を開けると
ガッ――ン!ガッーー――ン!!
先ほどまでうっすらと聞こえていた音が、耳をつんざくような音となって響いてきた。
扉の防音機能に驚くが、それよりも頭が割れそうになるほどの音に耐えられず耳を塞ぎ、反射で目をつむった。
「おぉい!ウィッシュマン帰ったぞぉ!!」
音の出どころもよくわからないがとりあえず大声で叫んだ。
しばらくして音がやみ、目を開けると溶接用の黒いヘルメットを付けた小太りの男がこちらに向かってきた。
「おぉノッペ、ようやく帰ってきたか、面白いものはあったか?」
ウィッシュマン博士は溶接用ヘルメットの正面部分を持ち上げてこちらを見上げながら言った。
身長は自分のへそまでしかなく、お腹周りは太っているものの、腕については日頃鍛冶やらモノづくりをしているおかげで、筋肉質の腕をしており、遠目から見るとゴツイという言葉が似あうが、それとは裏腹にぱっちりでクリックりな目をしていて、顔を見る度、体つきとのギャップがすごすぎて失礼だが笑いをこらえるので必死である。
「......ようやくって、砂嵐の中行ってきたのにねぎらいはないんかい(笑)」
一瞬目を見て笑いそうになった自分をなだめてから、皮肉交じりに言ったら
「毎日暇してるんだからたまには大変なことを味わわんとなぁ」
と、皮肉で返された。これ以上続けても本題から遠のいていくのをよくわかっているので、本題を切り出すことにした。
「まぁそれはそう。 っよいしょ。
ってことで、今回見つけたのはまじで初めて見たものだから、正直判断着かないんだよね。」
持ってきたロボットを作業台に乗せつつ、ウィッシュマン博士に見えるような向きに置いた。
「ほう…これはこれは」
ウィッシュマン博士がそう言いながら、食い入るようにロボットを見始めた。
そのままロボットの外装を取り外し、内部にたまっている砂をきれいに掃除したあと、破損部分の確認と修理を始めた。
おれはというと、途中まで博士の隣で手伝いをしていたが、今はもう何をやっているのかすらわからないので、博士が欲しがる工具を言われるがままに渡す係になっている。
しばらくして、博士がロボットの外装を取り付ける前に稼働チェックをするということで、いったん落ち着いた。
ロボットの胸部にある基盤っぽいところの近くにボタンが取り付けられており、それがロボットの電源らしい。
博士がそのボタンを押すと、ロボットの顔の部分に光がともり、何かの文字っぽいものが一瞬映りその後に顔の真ん中に白い丸が浮かび上がった。
少し様子を見ているとロボットが少しずつ動き始め、周りを見た後に、おれと博士のことを見て、頭を下げた。深くお辞儀をしようとしているみたいだが、ぎこちない会釈のような形になっている。
ロボットが顔をあげてこちらを見て、顔を小刻みに動かしたあと、何かに気づいたように顔をうつむかせた。何か伝えようと動いていたように見えるがさっぱりだ。
「博士、何か伝えようとしているみたいだけど。 わかる?」
とりあえず博士なら何とかなると思って聞いてみた。
「う~ん....たぶんじゃが、頭部の方にも機能が付いているみたいじゃのう、その機能がうまく働いてなくて、戸惑っているのかもしれんなぁ。。。
確認のために、もう一度電源を落として、整備するがそれでも問題ないかのぉ?」
博士は考え込みながらも、ある程度めどがついたみたいでロボットに対し確認をした。
ロボットは博士の問いに少しだけ間が空いた後にうなずき、そのまま顔に表示されていた白い丸の表示も消え電源が落ちたように見える。
「こちらの言葉は理解できているみたいじゃな。ということは、、、、じゃ
もうひと踏ん張りじゃ、ノッペそこの工具をとってくれんか」
「あいよ」
なんか流れで再び手伝うことになった。
正直もう半分めんどくさくはなっていたが、博士のもうひと踏ん張りという言葉と、ここまでやったことを振り返るとここで投げ出すのももったいないという気持ちが重なって、もう少し頑張ることにした。
再度修理を始めて、頭部の外装部分を外した際に博士が何か小さい声で独り言を話していた。
「なんじゃこの機能は、、声帯はこれとして、これはなんのためのもの、、、とりあえず、この回路を直せば使えるじゃろ、、」
とか何とか、、、なんかあったんだろうけど、見てもよくわからないから作業が終わってから聞こうと思って、いったん手伝いに集中することにした。
ある程度すると博士の手が止まった。
修理が完了したみたいだ。
最後に頭部の外装を取り付けるのにプラスして、再度電源のスイッチを入れた。
最初に電源を入れたときよりは少しだけ早く顔の中央部分に白い丸が浮かび上がった。
ロボットが動き始めてこちらを向き
「ナオシテクレテアリガトウ」
と言って頭を下げた。
すげぇ・・・・マジで直った。そう思ったと同時に
「おぉ。直った直った、苦労したかいがあったわい」
博士が額の汗をタオルで拭きながらロボットに言った。
その後作業が終わったこともあり、水を飲んで一息ついていた際に、博士がロボットに質問をし始めた。
「ところで、お前さんは何者でどこから来たんじゃ?」
部屋の中をきょろきょろとみていたロボットは、自分に向けられた質問だと理解してか、博士の方を見て答えた。
「モウシワケゴザイマセン、ソノシツモンニカイトウデキマセン」
(申し訳ございません、その質問に回答できません)
「どうしてなんじゃ?」
「ドコカラキタノカ、ワタシガナニモノナノカモナニモワカラナイカラデス」
(どこから来たのか、私が何者なのかも何もわからないからです。)
「なるほどのぉ。そこら辺のデータは消えてしまっているのかもしれんなぁ。」
「え?なんで、データがある前提で納得してるの?」
博士が勝手に納得しているのを見て、まったくついていけなかったからたまらず聞いてしまった。
「このぐらいの高度な技術を持っているロボットなら、そのぐらいの情報はあっても不思議ではないということと、自分がわからないなんてことは基本個体情報を登録するはずじゃから、ないこと自体おかしいんじゃ。」
そう言った後に少し考え込みながら、付け加えて言った。
「ただ、あえて情報を登録しないということもあり得ない話ではないかもしれんのぉ。理由は全くわからんが、、、」
「うーん、製作場所の情報流出を防止するためとか?」
唯一考え付いたことを言ってみたが、情報を抽出することに対して対策をしていれば、そもそもその必要性はないということに気づいて、博士の言う通りデータが消えたんじゃないかと思った。
「それは対策立てれば流出しないようにする技術は腐るほどあるから、正直現実的ではないんじゃ。
やっぱり、修理中にところどころ傷がついていたのは見えていたからそれが原因なような気がするのう。砂漠で砂に埋もれていたから、細かい傷がついているかもしれんしのう。」
「それって修復は難しいもんなの?」
「それはそうじゃ、そもそも使っている部品や技術が今のものじゃなさ過ぎて難しいのじゃよ
幸いなことに簡単な接続端子とかは手持ちの部品で代用できたからよかったんじゃけど、基盤にかかわる部分についてはいじれんかったわい。ちょっとした傷の修復はしたんじゃが、データ復旧までは難しかったのぉ」
「モウシワケゴザイマセン。タダシュウリヲシテイタダイタオカゲデ、オハナシスルコトガデキ、サラニキゾンノキノウモイクツカツカエルヨウニナリマシタ。アリガトウゴザイマス。」
(申し訳ございません。ただ修理をしていただいたおかげで、お話しすることができ、さらに既存の機能もいくつか使えるようになりました。ありがとうございます。)
「謝る必要などないわい。 そもそもわしらは暇だからということもあるんじゃけどな」
ロボットに対してハニカミながらそう言った。
ぞわっとしつつも、ロボットに対して今後どうするのかを考える必要があるので、スルーして話を切り出すことにした。
「ところで、これからどうするのさ? この。。。なんて呼べばいい?」
ロボットのことを呼ぼうとした瞬間、ふと呼び名がないことに気づいた。
このロボットが話すようになって、何かしらの情が沸いたからなのかもしれない。
「トクニナマエハゴザイマセン。コタイジョウホウニツイテモワカラナイタメ、オスキナヨウニオヨビクダサイ。」
(特に名前はございません。個体情報についてもわからないため、お好きなようにお呼びください。)
「好きなようにお呼びくださいって言ってもねぇ。。博士なにかいい感じのある?」
「わしにふるな、そういうのはお前さんの方が若いから得意じゃろ」
でたでた年寄りの逃げ口上。
そう思いつつ、最初にこのロボットが起動したときに表示された内容をヒントにすればいいのかもと思い。表示された内容を口に出してみた。
「たしか起動したときに、顔に表示された文字で、文字化けしていなかったのは、「Wake Up N」だったはず、、だから、そこからすっごく質素だけどNを仮で呼び名にしてもいいんじゃない?
どっ?」
博士もロボットも特に異論はないみたいで、Nに決定した。
「よし!じゃあN、これからどうする!」
呼び名も決まったので、仕切り直しも含めて元気に聞いてみた。
「あ、その前に気になることがあるんじゃけどいいかのぉ」
出鼻をくじかれめげそうになるが、それよりも博士が気になることが気になった。
「何が気になるの?」
「さっき修理したときに、なんかの機能で使いそうな装置みたいなものを見つけてのぉ
何に使うのかわからなくて気になるんじゃよ」
とNに向かって博士が疑問を投げかけると、
「コノソウチノコトデショウカ?」
(この装置のことでしょうか?)
とNは顔をこちらに向けると同時に、顔の正面側がきれいに縦にぱっくり割れるような形で開いた。
さらに、開いた顔の中から、直方体の形をしている枠組みといえばいいのか表現に困るものが出てきた。
その直方体が枠しかなく中が空洞なことから、そこに何かを入れる必要があるのは明白だが、それが何を入れるのか、また何の機能で使うのかは皆目検討もつかない。
「N、これは何か入れるものだよね? 何をいれるの?」
「ホンヲイレルヒツヨウガアリマス。」
(本を入れる必要があります。)
「「本」」
「本っちゅうのは、、、、なんじゃ?」
「・・・・トイウノハドウイウイミデショウカ?」
(・・・・というのはどういう意味でしょうか?)
この星には"本"がない。
というより、"本"という言葉がこの星にはない。
「えーと、それってもしかしてこれのこと?」
「それはグリモで本じゃないじゃろ。」
この星で使わない言葉だが、博士が言っている"グリモ"こそがNが言う"本"である。
ただ気になるのはこの星にない言葉のはずである、"本"がなぜNは知っているのか。
なぞは増えてく一方だけど、それよりも博士をごまかさないとだから、、
「なんかこのサイズに入りそうなものって、これかなぁって適当に出してみただけだよ
N、これであってる?」
我ながら、とっさにしてはなかなか頭が回ったと思う。
Nはおれが手に持っている"本"を見て肯定するようにうなずき、枠に置くように促した。
そして博士はというと"本"についてのことよりも、すでに置いた後に何が起きるのかが気になっている感じで、つぶらな瞳でこちらを見ている。
ほっとしつつ、Nの顔から出ている装置に"本"もとい"グリモ"を慎重に置いた。
"本"が置かれた装置は、Nの頭部の中にしまわれ、開かれていた顔の前面も閉じられた。
少しして、Nから、
「ブックマスターキノウ、ビジョンキノウヲジッコウシマスカ?カクチョウキノウノ"キョウユウ"ヲシヨウスルタメノアダプターガアレバ、セツゾクシテクダサイ。」
(ブックマスター機能、ビジョン機能を実行しますか?拡張機能の"共有"を使用するためのアダプターがあれば、接続してください。)
と業務説明のような感じで言ってきた。
「なんか機能が使えるみたいじゃが、"共有"という機能はアダプターがないと使えないんじゃな。
ちなみに、"共有"という機能はどういうものなんじゃ?あと、アダプターはどういうものが必要なのか教えてくれんかの?」
博士からの質問に対して、Nは顔に映っていた白い丸からアダプターといわれるものの図解のようなものに表示が変わった。
図解は、接続用のプラグと頭にかぶるヘルメットのようなものが映っており、細かい説明がびっしり書いてあった。
「"キョウユウ"トハ、ビジョンキノウヲワタシダケデナクアダプターヲツケタカタニモケンガクデキルキノウニナリマス。
マタ、ブックマスターキノウトハ、トリコンダホンヲヨミコンデイクキノウノコトデス。
ビジョンキノウトハ、ヨミコンダホンヲシカクカシホンノセカイヲケンガクスルコトガデキルキノウデス。
サイゴニ、アダプターニツイテハゲンザイウツシテイルモノガアダプターノセッケイズトナリマス。コレヲコウトウブニセツゾクタンシガアルノデ、ソチラニセツゾクシテイタダイタウエデキョウユウシタイカタガヘルメットヲソウチャクシテイタダケレバキョウユウカノウデス。」
("共有"とは、ビジョン機能を私だけでなくアダプターを付けた方にも見学できる機能になります。
また、ブックマスター機能とは、取り込んだ本を読みこんでいく機能のことです。
ビジョン機能とは、読み込んだ本を視覚化し本の世界を見学することができる機能です。
最後に、アダプターについては現在映しているものがアダプターの設計図となります。これを後頭部に接続端子があるので、そちらに接続していただいたうえで共有したいかたがヘルメットを装着していただければ共有可能です。)
「すげぇ、本の世界を見学できるってさ。。。どんな感じなんだろ。」
「なるほどのぉ、ただその見学をするためには、ノッペとわしの分で2つアダプターを作る必要があるっちゅうわけか。
後頭部の端子はさっき見たとき4つぐらいあったから繋がりそうじゃし、設計図を見た感じ、ここら辺にある部品で何とか作れそうじゃわい」
「え?これから作るの?」
「うーん、今日はいろいろやって疲れたしのぉ。。。。7ピニ後までには作っておくわい。」
「了解。じゃあそれまでは、いったんNはここにいてもらう感じでいい?」
「それでかまわんぞ、いろいろ確認もしたいことがあるからのぉ」
「ほい、じゃあ7ピニ後にねぇ。おつかれー、Nもおつかれー」
博士とNに軽く手を振りながら言った。
「ほい、お疲れさん。ゆっくり休むんじゃぞぉ。」
博士も軽く手を振った後、すぐに設計図を見始めていた。
「オツカレサマデシタ。」
(お疲れ様でした。)
Nはお辞儀しながら、言ってくれて、そのあと設計図を博士に見せていた。
とりあえず、7ピニ後にまた博士の家に訪れることが決まって安心した。
明日も手伝わないといけなくなったら面倒という気持ちが大半を占めていたからだ。
ちなみに、7ピニとは、この星には朝とか夜というものがないため、ピニという鳥に似た生物が地球で言う朝のタイミングで鳴き声を上げることで、1日という単位としている。
なので、1ピニとは1日のこと7ピニとは1週間のことを指す。
疲れ切った体で博士の家を出て、そのまま同じ建物の外階段を5階まで登ったところで、5階の入り口の扉の鍵を開け、部屋に入った。
博士とは同じ建物に住んでいて、博士が1階と2階、おれが5階に住んでいる。
今日着ていた服はすべて脱ぎ捨て軽くシャワーを浴びた後、部屋の奥の扉に入り、ふかふかのベットで7ピニ後までどうするか考えながら夢の中に飛び込んでいった。
--------2章 本の中のお星さま------------
7ピニ経ったので、博士の家に行くことにした。
待っている間にNに渡す本をいろいろと物色していた。
実際Nの機能がどういうものなのかは、まだ体験できたわけじゃないから何とも言えないが、
とりあえず家にあった本を数冊持って博士の家に向かった。
「ひさしぶり~」
「おぉ、待っとったぞぉ~ 準備はもうできてるぞぉ」
ウィッシュマン博士の家に入り、久々にあった博士に挨拶をすると、機嫌よく返してくれた。
機能についても準備ができているみたいで、早く試したくてうずうずしている様子だ。
「さすが!こっちも家にあった"グリモ"をいくつか持ってきたよ」
そういって博士に持ってきた本を見せると、博士は題名を見た後にため息交じりにおれに言った。
「おまえさんが持ってきたもん、全部戦争ものじゃのぉ
もっと平和的なものはなかったんか?」
「いやぁ、せっかく見学できる機能って聞いたから刺激が欲しくて。
それに平和的にっていうなら、この前あった"グリモ"で良くない?あれって、この星についての歴史とかいろいろ詰め込んだ本じゃなかったっけ?」
「そうじゃのぉ、じゃあ試験に使うものはそれにするかの。
まぁ機能の内容によってじゃが、次に見る"グリモ"はおまえさんが決めてええぞ」
博士はそういいながら、奥の部屋に入っていった。
それに続いて、持ってきた本の中から何を見学しようか考えながら奥の部屋に入っていった。
奥の部屋に入ると、この前まであった作業台が歯医者とかで使われるような椅子に変わっていた。
Nはその椅子に座っており、おれに気づくと軽く会釈をしつつ挨拶をしてくれた。
「お久しぶりです。ご機嫌はいかがですか?」
「あ、久しぶり。 まぁぼちぼちって感じだねぇ~」
・・・・・
「あれ?めっちゃ流暢にしゃべってない!?
それに外装もめっちゃきれいになってんじゃん!」
あまりに自然な挨拶だったから、普通に挨拶を返してしまったが、よくよく考えると前までのカタコト感が一切なくなっていた。
さらに前までボロボロだった外装もきれいになっており、関節部分のカバーもしっかりつき、内部のコードとかは一切見えなくなっていた。
「そうなんじゃよ。こやつなかなか優れものでのぉ。 普通に日常会話を3ピニぐらいしてたら、急に滑らかにしゃべれるようになってぶったまげたわい。
そんで外装についてはアダプター作成ついでに作って取り付けたってわけじゃよ」
「恐れ入ります。3日間...いえ、3ピニほどは言語の学習として、データを収集しておりまして、データ収集がある程度終わったタイミングで、収集したデータで再度内部データを構築いたしました。
そのためこのようにしゃべれるようになった次第でございます。」
・・・・・・
「よくわかんないけど...すごぉい」
ガチ本心
と思って放心していると、博士がヘルメットを二つ取り出して、一つをおれに渡してくれた。
「ほい、これがアダプターじゃから丁寧に扱うんじゃぞ。
くれぐれも壊さんようにな」
「ありがとう。壊さないように善処するよ」
「まぁ、めったなことがなければ壊れないように、作ってはおるから大丈夫だと思うがのぉ
さて、まずはこのヘルメットをかぶる前にヘルメットの前側に穴があるじゃろ?
ここに、このケーブルを接続するんじゃ あ、Nの方はすでに準備はできておるぞ。」
そういった後、Nがこっちにケーブルが繋がっていることを示すように後ろに振り返ってくれた。
しっかりと2本のケーブルが繋がっていることが見て分かった。
そうして博士が取り付けた感じで、おれもヘルメットの前側にケーブルをつなげてからヘルメットをかぶった。
ヘルメットは頭全体をすっぽりと覆うようになっており、ヘルメットをかぶると外の音はほとんど聞こえなくなった。
「それでは"共有"の方を実施しますが、対象の"本"、、、失礼しました、"グリモ"でしたね。
対象の"グリモ"は、この「宇宙と星と歴史」でよろしいでしょうか?」
ヘルメットの内側からNの声がした。
「スピーカーとマイクの確認だけしたいから、機能とかはちょっとだけ待ってくれんかの。
ノッペ、わしの声は聞こえるかぁ?」
今度は博士の声が聞こえた。
どうやらこのヘルメットの内側にスピーカーとマイクが付いているみたいで、この中でしゃべればNや博士に伝わりそうだ。
「しっかり聞こえるよ。Nの声も聞こえてるよ。」
「そうかそうかそれなら問題なさそうじゃのう。
そういうわけで確認は済んだから、諸々の機能を実行してかまわんぞぉ
"グリモ"についてもそれで大丈夫じゃぞぉ」
「かしこまりました。 それでは、各種機能を実行してまいります。
初めてこの機能をご利用される方は酔ってしまう可能性もございますので、十分にご注意くださいませ。
ブックマスター機能を実施いたします。およそ5秒ほどでビジョン機能と共有機能に移ります。
...ブックマスター機能が完了いたしました。これよりビジョン機能、共有機能を実施いたします。
カウントいたします。カウントが0になりますと現在の視界が開けますので、カウント完了まで目をつむることを推奨いたします。
それではカウントを開始いたします。
5、、、」
Nの説明を聞いてワクワクしながらも静かに目をつむった。
「4、、3、、2、、1、、0。
ビジョン機能、共有機能、開始。」
--シュワァーーーン......
機械音がした後、まったりとしたBGMがかかり始めた。
恐る恐る目を開けると、そこは宇宙の中だった。
「うわっ!」
足元を見るとそこには地面はなく、宇宙空間が広がっていた。
びっくりしてよろめきそうになるが、あくまで映像だということを足が地面の感覚をつかんでいたことで思い出せた。
落ち着いて周りを見ると、四方八方、上下左右の全方位に星々が散らばっており、強い光、弱い光と様々な光り方をしていて、本当に宇宙の中に放り投げられたような気分になった。
「すっごいのぉ。想像以上のもんじゃなぁ。」
博士も驚きを隠せないようで、驚いている声が聞こえる。
...再度周りを確認したが、博士はどこにもいなかった。
「N、おれたちってこのビジョンには映ったりしないの?」
博士の声は聞こえるが、横を向いても博士がいないということに違和感を感じて、つい確認してしまった。
「はい、仰る通り私含めこの映像はすべて"グリモ"の内容を映すものになります。
そのため、このように話すことはできても皆様が投影されることはございません。」
なるほど、あくまでも見るのみってことか。
機能の説明の通り"見学"って表現が正しかったんだと思った。
---ここははるか昔の宇宙、これからご覧になられるのは、この星の誕生。
双子星ができるまでの一部始終になります。
急にナレーションのような音声が流れ始めた。
おそらく、"グリモ"の内容を読み上げ始めたんだろう。
しっかりと、読み上げる部分と映像にする部分を使い分けていることに気づき驚いた。
"グリモ"の内容は、この星の住人ならほぼ全員が知っているこの星の歴史だった。
星は4つの小惑星が衝突し、そこから2つの惑星が誕生した。
この二つの惑星の名前を双子惑星と現在では言われており、片方をソリン、もう片方をコリンと言う。
この名前は惑星が出来上がり、人類が住める環境になった時に、一つの宇宙船が入植した際その船長の孫娘2人の名前が由来といわれている。
入植してからおおよそ100年後、ソリンとコリンの間で確執ができ争いが起きる。
これが後の双子大戦というもので、双子惑星が衝突し惑星が壊れる可能性が出るほど大規模な戦争となった。
戦争の終盤には、惑星の危機を救うべくして立ち上がった集団が惑星間に4本の柱を設置し惑星の衝突を防ぐことができた。
その後、柱を守る集団と、柱を壊そうとする集団での戦争が起きるが、現在の状況を見て分かるように柱を守る集団が勝利する。
この大戦によって惑星のほとんどは砂漠化してしまい、もはや死の星としてとある惑星の大宇宙学会では定義されている。
それから500年後の現在では崩壊する星見たさに、この星に住んでいる人がほとんどで、いつ崩壊するかわからない状況なのはこの500年間変わらない。
という内容であった。
"グリモ"が終わったタイミングで、映像は消え、Nからのアナウンスによってヘルメットを外した。
おれと博士はしばらくの間呆然としていた。
それほどまでに"圧巻"だった。
映像が特に秀逸で4つの柱については現在建っている柱と完全に一致しており、没入感もすごかった。
本当に本の中を見た気分になっていた。
「すげぇもん見たわ。マジで、、、」
「わしも生まれてこの方、こんな経験は初めてじゃ。」
「私もこの惑星についての歴史を学ぶことができ、大変興味深かったです。
もし私が生産された理由などもどこかの"グリモ"に記載されていたら嬉しいですね。」
ちょっぴり切なそうな雰囲気を漂わせていて、つい本当にロボットなのかと疑ってしまった。
Nの記憶はなくなってしまっているから、切なくなるのはわからなくもないが、ここまで感情があるのはちょっと恐ろしくも感じた。
まぁ、特に害があるわけではないから、何でもいいんだけどね。
「Nの作られた秘密とかは、今後探した"グリモ"から見つけられるといいな。
今度また探索には出かけるから、その時に探しにでも行く?」
「ぜひ同行させていただきたいです!」
Nはおれからの提案に力強くうなづきながら言った。
もう人やんな。
「ただ、次の探索はだいぶ先にはなるから、"グリモ"探しは一旦お預けなんだよね。
だから、今は持ってきた"グリモ"を見たいんだけど、それでもいい? 正直それまで暇だし。」
そういって、今日持ってきた"グリモ"を手に持って見せた。
「お、そりゃいいのぉ。 わしも技術関連の"グリモ"なんかを見てみたいもんじゃのぉ
たしか2階を探せばあったはずじゃと思うんじゃが、すぐには見つけられんから、とりあえずはノッペが持ってきた"グリモ"で我慢するかのぉ」
「我慢って失礼な。 ちゃんとした作品なんだぞ、作者に対しての冒涜は許しません!」
「ほっほっ、それは内容によると思うがのぉ。」
というしょうもない冗談交じりのやり取りをしつつ、次の"グリモ"を持ってきた"グリモ"の中から選んでいた。
「ん~どおしよっかなぁ~。
ほんとは、バトルものがいいんだけど、博士が最初に戦争はちょっととか言うから、少しマイルドな奴...これとか?」
そういって、博士とNに1冊の"グリモ"を見せた。
「「宵越しの金を持ちたい」」
---Project N -0- end
次のお話は、「宵越しの金を持ちたい」になります。
これは別小説として作成しますが、次の「Project N」では、その"グリモ"を読んだ後の話として進んでいきます。正直読まなくても問題ないです。
ただ、そっちを書いてから、次の「Project N」を書きますので、暇なら読んでいただけると幸いです。
ちょっと小説家になろうの仕様がわからないので、書き方を変えたりなどするかもしれないですが、いったん次の「Project N」は「Project N -1-」で作る予定です。
仕事しながらなので、マイペースに書いていきます。