表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/23

ー第6話妨害




ー第6話妨害




理香子を乗せた久利坂の車は、久屋大通り公園に向かっていた。

車は古そうだが、車内はチリひとつ無く掃除されている。理香子は、警察車両に有るはずの物が無い事に気づいた。

「久利坂さん。この車…無線が無いのは何故です?」

久利坂は前を見たまま答える。

「任務によっては、こういう車両も使います。無線、サイレン、回転燈も積んでない。そのかわり、この車は鈴鹿サーキットで勝てるレベルにチューンされてまして…その手の任務に使います」

久利坂は、バックミラーをチラッ チラッと、規則的に見るようになった。


「誰か…つけてるんですか?」

「えぇ。多分…イギリスの…識別名称サトウチームって云う、結構レベルの高い特務機関です。坂本龍馬関係にヘンリーパークス、アーネストサトウ関係で出動して来るんです」

「第2代イギリス公使に。その通訳官。サトウはイカルス号事件で龍馬とやりあってる。イギリス水兵を2人殺害した犯人は、海援隊隊士だと言いがかりをつけて…」

「あぁ…サトウが言ってる事に、龍馬が笑ったんで、叱りつけたら悪魔のような顔になって黙ったって話ですか…。人の国に来て、理不尽に威張り散らされたら、何様だってムッとするのは当然でしょう。それも、いい加減な状況証拠で」

そう言う久利坂に、理香子は考え込みながらつぶやいた。

「…専用のチームをイギリスが編成してるのは何が有るんだろう…。アーネストサトウが、薩摩土佐と言わずに…武力倒幕を考えてる人達に、龍馬が外国4ヶ国はもちろん…幕府ともパイプを持っている事を、悪意を込めて洩らしたと云う説が有ります」

「つまり。龍馬は、外国と幕府の手先だと…。そう言えば、仲間の誰かが龍馬を襲うのは目に見えてる。黒幕はイギリス公使館説って所ですか?。本当なら、日本の反イギリス感情は増大するでしょうね。100年以上も前の事とは言え、謝罪しろなんて話になるかもしれない。サトウチームなんて名前を付けている所をみると、案外図星かも知れない」

突然。

久利坂は、急ブレーキを踏みハンドルを切ってテールをスライドさせた。

そして、反対車線に入るとアクセルベタ踏みで走り始めた。

それを久利坂は、理香子の体を左手でシートに押し付けながら、眉毛ひとつ動かさずにやってのけた。

「どうしたんです!久利坂さん」

久利坂の表情はまったく変わってない。

「実力公使です。始まりました。私に任せて下さい」

久利坂は、運転しながら巧みに理香子のシートベルトを装着させた。車は前後左右のG(重力加速度)にまれている。

そして、携帯を取り出すと、見もせずにリストを選択して電話を掛けた。

「…2部か?久利坂だ。サトウチームが名古屋広小路通りで、やりたい放題だ!。5分で何とかしろ。出来なかったら、お前らの部長をクビにしてやる!!」

久利坂は、理香子に理解不能な事を言って携帯を切った。

「5分時間を稼ぐ。後は、外国スパイ専門の連中に任せる」

理香子は、アクセルベタ踏みの車で名古屋市内を逃走する事態におちいった。気持ち悪いどころではなく、前後左右のGで死にそうだった。




「来たっ!!」

久利坂が叫んで、車のスピードが緩んだ。

「…4分ジャストか。さすがは白根部長。いい仕事をしてくれる」

理香子は、助手席で気絶していた。久利坂は、いったん公衆トイレの前で車を停めると、理香子に当て身を入れた。気が付いた理香子は、必死に吐き気をこらえた。

「トイレが有る。吐いた方が楽になる」

久利坂は素早くシートベルトを外して、ドアを開けた。

口を押さえながら、理香子はトイレに駆け込んだ。




星岡は、遅いと思いながらダンボール小屋の前に立っている。そこに、青白い顔をした理香子が、背広姿のスキンヘッドの男と現れた。

「…どうした?。大丈夫かぁ?」

理香子は涙を溜めた目で言った。

「大丈夫じゃない。車に酔った」

「どういう事だ?」

星岡は背広スキンヘッドを見た。

「君らは、イギリス特務機関の任務対象になった。連中を巻く為に、乱暴な運転をしたので、君のガールフレンドは酔ってしまった。申し訳ない」

久利坂は軽く頭を下げた。

「誰だ?あんたは?」

理香子がいきさつを話した。




「坂本龍馬が居るだけでもややこしいのに…先祖の無念を晴らしたい公安警察官とは。加えて、イギリス特務機関だって?。007が出て来たら、気絶させてもらうぞ…」

理香子は手で、愚痴っている星岡を制した。

「それで。どんな事情で坂本龍馬が居るの?」

「あぁあん…?。アメンティティだ。また遭難して、慶應3年に脱出したらしい。脱出した場所が、この間理香子と行った酢屋の前で…龍馬に助けられて…自分の水晶で龍馬を現代に飛ばして、この有り様だ」

「どうするつもりなの?」

「暗殺された11月15日以降に、アメンティティ用の別の水晶を持って、龍馬を戻せって事らしい。それで、20のコードを弾いてホティオティと連絡をとらなきゃならない」

久利坂の眉間にシワが寄った。理香子がそれに気づいた。

「久利坂さん。どうしたの?」

「遠藤さん。星岡さん。そのエジプト人みたいな名前の人物は、もしかして宇宙人?ですか?」

「間違いなく…。なぁ理香子」

理香子は星岡に同意した。

「それはそれとして、宇宙人関係の特務機関も存在しています。こちらは、かなり危険な連中です。やるなら、最短で行動すべきです」

星岡は空を仰いだ。

「気絶してるヒマはないか…」







次話!

ー第7話 遠藤研究員 坂本龍馬と会見する

。歴史上の謎はすべて答えが出るのか?しかし、時空は理香子と星岡を呑み込んで流れ始めていた!!。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ