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ー第15話天満屋




ー第15話天満屋




12月7日になった。

史実では、海援隊が犯人だと勘違いして、16名で三浦休太郎を天満屋に襲撃した。さらに兵庫が開港している。

天満屋は、現在の住所で云うと、下京区仏具屋町油小路通。西本願寺と東本願寺の間になる。この時に死亡した海援隊士中井正(庄)五郎の碑が有る場所になる。

しかし、星岡は油小路花屋町だと龍馬に言われた。実は、理香子との京都旅行で、この天満屋跡にも立ち寄っている。ガイドブックに仏具屋町と有るのを、星岡は覚えていた。

「天満屋は、花屋町にも仏具屋町にも入口がある。どっちも正しい。つまり、角地に立っちょるのよ。」

龍馬は、高瀬舟で星岡と久利坂に船首から言った。高瀬川を七条通りで降りて、西に向かってゆく。東本願寺の南を通り、西洞院を過ぎて2本目の米屋町で北に曲がる。玉光町を越えると仏具屋町になる。星岡と久利坂は、玉光町の角で止まって龍馬を見送った。さらに北側の角に、海援隊士8名が見える。別に8名が仏具屋町の角を曲がった花屋町に待機しているはずだ。時刻は5っ半…夜9時頃になる。

龍馬は、天満屋の文字が入った行灯あんどんから中に消えた。龍馬の持っているスミスアンドウェッソン1/2ピストルの合図で、全員が踏み込む段取りになっている。




町家まちやの軒下に居る星岡もピストルを持っていた。日本刀はとても使えない。

舟の中で

「人は撃てない」

と言うと龍馬は笑った。

「こけおどしよ。構えるだけで、相手は近づくのをためらう。それでも来そうになったら天井を撃て。撃ったら逃げよ。武器は人を脅す為に使うのが良い。殺す為に使ったら、終わりのない報復合戦になる」

待ちながら、星岡は上手うまい事を言うと思った。

なかなかピストルの音がしない。



北側の海援隊がジレて、天満屋の入口まで動いた。

そこにノッソリ龍馬が顔を出した。

「おまんらぁピストルは撃っちょらんぜよ」

と言うのが聞こえる。顔がこっちを向いた。

「星岡さん」

と龍馬は呼んだ。星岡は久利坂と共に、天満屋の入口に向かった。



「どうしました?。才谷さん」

「おまんの想い人はなかなかぜよ。エゲレス人を説き伏せよった…まぁ入れ。久利坂さんも。後は残れ」

星岡と久利坂だけを連れて、天満屋の中に入った。


2階に上がって、奥の部屋に進んで行く。ふすまを開けると、灯りに照らされてイギリス人と野口が居た。久利坂は脇差しの柄を握り、星岡はふところのピストルをつかんだ。




龍馬はドカッと畳に座り、入口で殺気立っている2人を促した。

「やめちょけ。そりゃあ要らん事ぜよ。こん人は、エゲレス公使館の通訳サトウさん。こっちは従者の野口さんじゃ」

若いイギリス紳士が椅子から立ち上がった。

「サトウと申す」

ちゃんとしたイントネーションで、このイギリス人は日本語を発した。野口は軽く目礼する。

「こちらは、星岡さんに久利坂さん」

こちらも目礼する。

「座れ。2人とも武器から手を話せ」

龍馬に言われて、2人はゆっくりと座った。

サトウは笑みを浮かべて言った。

「星岡さん。遠藤さんは素晴らしい方ですな。このサトウ目が覚め申した」

星岡は展開が飲み込めずに、久利坂と目を合わせた。

「遠藤理香子が何を?」

「不審はごもっともでござる。このサトウ、武力を用いてしかこの国は変えられん思っておりました。たが為薩摩に武力革命を説いて参りました。更には、その妨げとなる才谷さんの殺害もくわだて申した。恥ずかしい限りでござる。薩摩と幕府の戦は、無謀どころか必要ですら無い事を遠藤さんに教えられ申した。まったくその通りと目が覚めた次第です」

サトウは椅子の上で深々と頭を下げた。頭を上げると続けて言った。

「…しかしながら。当公使館の方針は決っしてしまっております」

アーネスト サトウは間を開けた

「どう決っしてるんです?」

星岡は促した。

「薩摩 長州に武力倒幕を行わせ、新政府をイギリス本国に承認させると。…つまり、戦うなとイギリス公使館は言えない状況に有ります。ヘンリー パークス公使は、大阪湾に艦隊を集結させて、幕府軍が江戸に退去する事を認めないと、非公式に将軍に通告する予定です。もし、将軍が退去するならば、幕府の船舶を沈める事も辞さない事も含めて」

星岡は、この恫喝どうかつにさすがに頭にきた。

「そんな無茶な!。イギリス紳士が聞いて呆れる。そんな事したら、あんたも公使も首でしょうが?。武力介入は、イギリス議会に禁じられてるって、理香子に聞きましたよ!」

サトウは眉毛ひとつ動かさない。

「武力介入で無いなら?。どうです?」

「……」

「イギリス人居留地きょりゅうちに、戦争の被害が及んだ為に、イギリス人保護の為と報告するならどうです?。もはや、その計画でイギリス公使館は動いています。私には止められません。なにしろ、私自身がこの計画を昨日まで、推し進めて来た張本人ですから」

星岡はあきらめて、質問を変えた。

「理香子は今、どこに居るんです?」

「アドベンチャー号です。私は理香子さんをお戻しするつもりでしたが、理香子さんに拒否されて困っています」

「待てよ。なんで、そうなるんだよ!」

「つまり。パークス公使を説得するとおっしゃるのですが…それは危険ですよとお留めしました。パークスは誇り高い。女性に説得されるなど、最も嫌う人物です。今日ここにお連れするつもりでしたが、パークスに会わせなければ動かないと言われまして、この有り様です」

星岡は天を仰いだ。

ー何考えてるんだよ。あの馬鹿…ー

「星岡さんは、理香子さんの許嫁いいなずけで有られるとか?」

「まぁ、そうですけど」

「説得する為に、アドベンチャー号に来て頂けませんか?」

「行きましょう。アドベンチャーワールドだろうが、ファンタジーだろうが」

「星岡さんは詩人で有られる!。まさに、幻想的冒険です。すぐにも出ましょう」





天満屋の花屋町側に、駕籠かごが2つ呼ばれた。

裏階段から降りて、サトウと星岡が乗り、野口と久利坂が駕籠の横を歩く。この時期、京に外国人が入る事は許されていない。見つかればサトウの命は無い。天満屋は、どうやらイギリス公使館のコントロール下に有るようだった。しかしながら、天満屋には新撰組から幕府関係の人物まで宿泊している。別れ際そう言った事情も含めて、龍馬は星岡に言った。

「サトウは無茶ぜよ。だが理香子さんのおかげで、頼もしい味方になった。信頼して良い」

駕籠は大阪に入るまで、走り続けた。大阪湾天保山沖に着いたのは、12月8日の朝だった。




ー次話!

ー第16話アドベンチャー号 2009年に帰ろう!。理香子を説得する星岡。しかし、夢にまで見た幕末の中で、パークス公使に想いを伝えたい理香子だったが…。





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