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チェックに重ねるはチェックメイト

 「全く、……いつからそんなけんか腰になったのよ」

広場への移動中、舞原千歳がそう問いかけてきた。

「いつ、と言われても、分らんな。ただ、なんかいけ好かないだけだ」

「はあ……、このことに関してはミサに同情するわ」

「好きにしろ」

 ただ、正確にいつから、と問われれば一週間前だろうか。

 実は一週間前にとある知り合いに会いに行っていた。そこで話した会話で心変わりしたのだ。正しく言えば、そうせざるを得ない状況となったと言った方が的を射ている。

  いつか、いつか、その脅威が、恐れていることが起きる前に言う機会があったとするならば、その時には……。

いや、今はいい。今は目の前のことに集中しよう。


 その後、他の生徒がいなくなった後、この前千歳と死闘を繰り広げた広場へと出向いていた。目の前には余裕そうな顔をしたミサ・ミステリナが悠然と立っていた。

「いつでもOKよ」

「いわれなくとも、そのつもりだが……」

 対峙してまだ数十秒。だが、俺達にはそれで十分だ。対戦の準備ができるには。

「では、遠慮なく……」

 瞬間、俺はマグナムで発砲。けたたましい音と共に鉛玉が放物線を描くことなく、直線的にミサへと突き進んでいく。が、

「雑な攻撃ね」

 直後、その言葉が聞き終わる前に、展開された防御魔法によって弾丸は弾かれた。

「ただの牽制か。それとも、単に見くびっていたのか、違う目的があるのか。見当つかないわね。そこら辺どうなの?」

「さあ、どうだろうなあ?」

 俺は不敵に笑いながら、そう返した。

 さて、俺はこの防御魔法を破れるなんて到底思っちゃいない。むしろ、俺の攻撃は全く通らないと断定したほうがよさそうだ。

 引いてのべた引きタイプの倒し方は三つ。

 防御魔法が追い付かない程の連撃、又は素早い一撃。

 防御魔法を上回る程の攻撃。

 そして、防御魔法を使っていない時の一撃。

 俺は無能力者だ。最初に言った二つは得策とは言えない。だったら残る選択肢は一つ。後者一択。

 素早く断定した俺は、拳を固めて彼女に向かって突進する。

「愚直ね。一体何が狙いなのか……」

 そう言いながら、防御魔法を複数展開。あらゆる攻撃に対応してくる。だが、俺は構わず左手のナイフで刺突させる。

「……ッ⁉」

 一撃。

 たったの一撃が防御魔法によって弾かれる。だが、その威力は強烈だった。一瞬だけ防御魔法が不安定な状態になり、耐久力が劣る。

「ほんっと、化け物ね」

 冷静さを失っていたのは一瞬。直ぐに展開を始める。

「ハハハ、化け物で結構」

 俺は笑いながら、首を鳴らしながらナイフを構えなおす。

「ダル……」

 俺にしか聞こえないような声で俺は呟く。

 先程の一撃で何とか不安定にするのが限界。言っていないが、かなり手はしびれている。流石にあれを連続とはいけないし、あいつも同じようなヘマはしないだろう。本格的に勝率が低くなってきた。

どうする。使うか使わないか。一瞬でも能力を発動すれば突破は可能だ。だが、それだとミサに能力がばれる可能性がある。それだけは避けたい。今ここで能力を明かすのは不正解だ。使わなければばれる心配はない。その分、突破口は狭まる。

様々な葛藤が頭をよぎる。悩んでいる暇などない。すぐにでも攻撃を始めないと……。

「まだ考えているの?」

「……ッ⁉」

 思考を巡らせるのに夢中になっていたせいか、ミサがすぐそこまで接近していたことに気づいていなかった。

 すぐさま受け身と回避行動を急ぐ。が、気づくのが遅れたため、回避行動が遅れ、ミサの拳を不安定な状態で受けることになる。

「ちい……!」

 受け身も虚しく、体に走る痛みに顔をしかめながら、舌打ちを打つ。

 迷っている時間はない。一撃、一閃。そのすべてに、賭ける!

 俺は再びマグナムを持ち直して、連続的に発砲を繰り返しながらナイフを手に疾駆する。目の前にいる、無傷の能力者とも謳われる、その少女に向けて。

「愚直なのよ。これでチェックよ」

 再び防御魔法を展開するミサ。きっとそれは反射の防御魔法。受けたダメージを反射するタイプだ。しかし、俺には通用しない。

「だったら、俺はチェックメイトだ」

 俺は躊躇わず、その展開された防御魔法にナイフを刺突した。

「ッ⁉」

 躊躇いもないその行動にミサは大きく目を見開いた。だが、それだけでは終わらない。

 俺の能力が込められた俺の右手を伝い、ナイフに宿された能力が、効力を発揮する。

「ッ! なんで!!」

 少しずつ、魔法陣として展開された防御魔法という壁に、ナイフが食い込んでいく。

「そ、そんな……!」

 まさに驚愕の声を漏らすが、状況は変わらず、危機が迫る。

「言ったろ、チェックメイトだって」

 そう言った直後、ガラスが割れるような音が響き、防御魔法が破壊される。

「う、そ……」

「ほんとだ。さて、悪いが手加減はできねえからな? 与えられる痛み、とくと味わえ」

 瞬間、鈍い音が響き渡った。

 俺は殴った拳に息を吹きかけながら、倒れ込んだミサを見下ろして言った。

「すまんな、イレギュラーなもんで……」

と……。

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