何者か
「あ~あ、…ねっむ」
俺は学校の敷地内にある寮の一室で、備え付けられたベットに身を投じていた。
この学校の校則で、Cクラス以上のクラスに所属していると、強制的に全寮制となる。
つまりは、家に帰れなくなるのだ。
「まあ、元居たところよりはましか」
俺たちがBクラスへと昇格したことで、俺は寮生活を余儀なくされた。
まあ、元々帰る家と言ってもボロアパートなので、そこよりはましな居心地だ。
「腹、減ったな…」
そう言えば、俺は昼飯をめったに食わない。その為、学食という場所に踏み入れたこともなかった。
「学食行くか」
一人、そう呟いて、俺は部屋を後にした。
「おおう、結構人いるな」
夕飯時とも相まって、学食はかなり混み合っていた。
俺は食券を買い、頼んだラーメンを受け取る。
夜中によくカップラーメンを食べていたせいか、今では夕食で食べるようになっていた。
俺は空いていた席に座ると、ゆっくりと食べ始める。
無論、誘う友達もいないため、一人で黙々と麵をすする。
そうして、半分まで食べ終わったとき、俺の隣に誰かが座った。
いや、別に座ることはあるのだが、その人物が顔見知りであったため、妙に探ってしまう。
「椿零」
案の定、向こうから話してきた。
無視する必要もないので、俺は手を止めずに、答える。
「その様子だと、俺に何か用でもありそうだな。西園寺」
そう、声をかけてきたのはほかでもない、Aクラスで舞原と同じぐらいの実力者、西園寺幸助だった。
「今日は舞原は一緒じゃないんだな」
「ああ。俺はあいつの部下ということでもなければ、専属のボディーガードというわけでもない。いつもあいつと一緒にいる必要はない」
「そうだな」
俺は残った麵をレンゲですくいながら答える。
「で、何の用だ?俺はそろそろ戻るから手短に済ませてくれ」
「鼻からそのつもりだ。まず、Bクラスたちが学校内に立てこもったとき、お前は一体どこにいた?」
「わざわざ探してたのか?」
「そういう認識でも構わない。ただ、質問に答えてくれ」
「その答えは舞原から聞いてるんじゃなかったのか?」
「ああ、確かにな。だが、一応確認のためだ」
知っているのなら、噓をつく必要はない。
「校内」
「そこで何をしていた?」
「すまん。詳細は舞原から直接聞いてくれ。俺は戻る」
「最後に聞かせろ。お前は…」
「何者だ?」
その突拍子もない質問に、俺はトレーを持ちながら、西園寺に背を向けながら、答えた。
「ミステリアスな無能力者、又は、落ちこぼれ」
と。
「面倒くさい奴に目つけられたな…」
あの後、部屋に戻った俺はベットに寝ころんでいた。
どうやら、西園寺も俺の実力を疑っているらしい。
まったく、これ以上はストレスになるぞ。俺の精神を壊す気か!
と、軽口を心中で言う。
すると、コンコンと扉をノックする音が響き渡る。
「鍵は開いてるぞ」
俺が体制をそのままにそう言うと、扉が開き、訪問してきた人物が姿を現す。
「舞原か。こんな時間に何の用だ?」
舞原が扉近くに立ち尽くしていた。
「貴方に聞きたいことがあってね」
珍しく、少し顔を俯きながら、そう言葉を零す。
そして、次の瞬間、
舞原の作り出した槍が俺の首元に突き付けられるのと、俺のマグナムのセーフティを外す音が同時に響き渡った。
「……何の真似だ?舞原。こんな時間に俺のところを訪ねてきたから、てっきり愛の告白かと思ったじゃないか」
「この状況でまだそんな軽口を叩けるのね。関心を通り越して、呆れたわ」
「お褒めの言葉をどうも。で、さっさとそんな物騒なモンをおろしてくれないか?お前が下すなら、俺もお前に風穴を開けなくて済む」
「それはこっちのセリフ。そして、ここに来たのは愛の告白でも何でもない」
「だったら…、」
俺が言い終わる前に、舞原が冷徹な目を向けながら、その答えを明かした」
「私に戦いなさい。そして、繰り広げましょう、」
「死闘を…」




